会長税の季節

総選挙が終わって自由民主党の大勝に終わった。安倍政権になってから5年、アベノミクスの新鮮さも失われてきた。アベノミクスの三本の矢の第三弾「成長戦略」の中身も次々とスローガンが変わって、以前のスローガンの成果の検証も終わらぬうちに次のスローガンが出てくるので生煮えで未消化のまま進んでいる感じがする。

毎年、年末年始は来年度の予算編成や補正予算を巡る税の季節である。今年は政府税制調査会を中心に、働き方改革、子育て・教育無償化などに向けてその予算に必要な財源を中心に所得税の増税が議論されており、また訪日外国人の増加を見込んで一人1000円の「出国税(観光促進税)」の新税も決まったようである。

累進税率と再分配機能

今回の増税の目玉である850万円以上の給与所得者を中心に増税が図られている。このように裕福な人から多くの税金をとり、貧しい人からは少なく、貧しい人にも均等なサービスをという事を税の世界で実現しようとするのが累進税率制度である。

同じ1万円でもその人の所得によって15%から55%まで税の負担を変えて裕福な人に多い税金を課税する制度が現在の個人の所得や相続などの時に課税する仕組みである。

法人所得には個人所得の源泉として企業活動に中立的になるように単一の比例税率を原則としている。

消費税もその消費の時に、その消費金額しか課税することができないので原則として単一税率で課税されているのはご承知のとおりである。

法人税や消費税には政策的に特例を設ける場合がある。

法人税では小規模企業への軽減税率があり、消費税には生活必需品には低税率の消費税にする提案があり、次の消費税率引き上げの時には複数税率制度を取り入れることが提案されている。

消費税に税の再配分機能を

消費税は上述の通り単一税率には累進税率制度が馴染まず「税の再配分配機能」がないといわれているが、塩野七生氏は非常に興味深い提案をされていた。

「このローマ人に学ぶとすれば、本土の消費税は10パーセントに上げても、沖縄は5パーセント。(中略)本土でも基地のある地方は、同じ理由で5パーセント。基地があるゆえに生ずる住民の不都合には、沖縄と同じに対処するのが国の政治である。

そして、消費税軽減策の本当の目的がヒトとカネの導入による活性化にある以上、これまた昔のローマ人が災害地で行っていた政策をまねて、東北3県もこの対象に入るのは当然だ」と提案している。

私がこの提案に注目したのは、今までの消費税議論の中に全くなかった視点があり、その視点が「日本全国一律」ではなく、地域エリア別に軽減するという発想が新鮮で日本にも十分適用しうるものと感じたからである。

もう一つ、軽減税率の目的に対する氏の視点が「格差是正」ではなく「消費税軽減策の本当の目的はヒトとカネの導入による活性化にある」としている点にある。この塩野氏の視点を取り入れれば、いま、安倍政権が取り組んでいる地方再生や地方活性化政策として検討したら面白いと感じている。

地方活性化に税の優遇地域を

タックスヘイブンの形態にはおおよそ3類型あり、そのうち税を優遇するタックスヘイブン型は、アメリカのデラウェア州が発祥とされている。

アメリカでは企業誘致の州間競争が激しく、デラウェア州に大企業が集中している。簡素な会社法と州の法人所得税を軽減することにより企業誘致に成功したのが税のタックスヘイブンの始まりといわれている。

いま、地方の人口減少が著しいがその原因の一つは地方に産業が少なく就労機会が少ないからである。地方に産業をどう呼び寄せるかが大きな課題になっているが、これにデラウェア型の地域別「税の優遇地域(タックスヘイブン)」を設けてはどうであろうか。

たとえば、人口増加率(減少率)の最下位から、高齢化率であれば高い方から5県については消費税率「ゼロ・パーセント」、6位から10位までの県については消費税率を5パーセント、その他の県は標準税率とすることも面白いかもしれない。

担当大臣まで置いて推進している地方の活性化について氏の提言は検討に値するものだ。

「税は社会を変える」は私の持論の一つである。

 

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税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三


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