「築 20 年越え」のアパート・ マンションを満室にする秘訣

第309回 財産承継研究会

「築 20 年越え」のアパート・ マンションを満室にする秘訣

講師:

株式会社 市萬 コンサルタント
山村 諭史 氏

★今回は「株式会社 市萬」のコンサルタント 山村諭史氏から アパート・マンションを満室にする秘訣を解説していただきましたので、要約をご案内いたします。

◎現在、不動産業界は変革期を迎えています。当社でも設立当初は不動産の売買・相続対策・有効活用等が主な相談案件でしたが、昨今の賃貸市場の悪化に伴い、年々賃貸管理の相談を多く頂くようになりました。

当社に相談頂く方の 95 %は金融機関からのご紹介のお客様です。特に築年数の経過した賃貸不動産の再生実績が評価を受け、平成 26 年 10 月末現在、当社で管理する賃貸不動産の約7割は築 20 年越えの不動産です。築年数に関わらず高い入居率を維持することを目標にしており、10 月時点の入居率は 96.8%となっています。『築年数の経過した賃貸不動産でも高い入居率を維持できる』それが当社の特徴です。

築 20 年を超える不動産経営においてキャッシュフロー(以下、CF)を圧迫する原因には

①空室・家賃の下落
②建物の修繕と設備交換
③税金負担

が考えられます。ここでCF改善策を考えた場合、方法として

①収入を増やす(賃料を上げる・入居率を上げる)
②支出を減らす(維持費、修繕費を減らす・借入条件の変更)

の2つが考えられます。「①収入を増やす」のうち、「賃料を上げる」ためには、相当の工事費を投資する必要があり、収支を考慮した場合、現実的な改善策にならない場合が多いです。一方「②支出を減らす」のうち「維持費、修繕費を減らす」については、賃貸経営上、最低限の維持管理費は必要であり、現状CFが厳しいオーナー様にとって更なる削減は難しいのではないでしょうか。最後の「借入条件の変更」については、金融機関の判断によるため、必ずしも承認されるとも限りません。

以上のことから、CF改善のためにまず出来ることは「入居率を上げる」であると考えています。入居率が上がることでCFが改善し、結果的に家賃維持の先行投資や、借入条件変更に繋げることが出来るからです。

ここからは空室対策ノウハウをご紹介します。当社では何か特別なことを行っている訳ではなく、基本的な対策を徹底して行っています。

1.商品力:お客様が入居したくなる物件づくり

①適切な募集条件

昨今はITの普及により入居者自身が物件情報を入手しやすい時代になりました。そのため、相場賃料より高い条件で物件を成約することが困難になってきています。適切な募集条件でなるべく短期間のうちに決めることが、収益を最大化するポイントです。当社では募集開始から2カ月以内で決まる条件を目安としています。

②脱・3K(汚い、臭い、暗い)

必要最低限、物件にマイナス印象となる部分を徹底的になくすことです。特に入居者がお部屋と同様に毎日目にする共用部(ごみ置き場・駐輪場・エントランス廻り)がポイントです。

例えば、ゴミ置き場のネットを辞めストッカーを設置する、駐輪場にラインを引き登録制にする、共用部の放置物を撤去するなど、工夫次第でコストを抑えて整備することが出来ます。

③脱・賃貸仕様

原状回復時にわざわざ 20 年前の内装仕様に戻すのではなく、カラーコーディネートを少し工夫するだけで、現代の嗜好に合ったお部屋に変わります。今では床材・壁紙等は非常に豊富な種類があり、様々な風合い・色を選ぶことが出来ます。例えば男性用にシックな壁紙を使用する、家族向けに白を基調とした色使いで清潔感を強調するなど、同じ費用を掛けるにも色を工夫するだけで、印象は大きく変わります。

2.営業力:魅力的な物件を如何に広告宣伝・営業するか

①幅広い営業

これまでの賃貸業界では、管理物件を自社店舗に来店したお客様のみに紹介する(空室情報を公開しない)慣習がありました。しかし、この方法では他社へ来店したお客様への紹介チャンスを失うことになります。ありとあらゆる不動産会社へ情報提供し紹介のチャンスを逃さないことが重要です。また、紹介の優先度を上げるため、当社ではオーナー様からの仲介手数料を仲介会社にそのまま渡しています。

②募集営業

仲介会社に対する一斉同報、電話営業、訪問営業、レインズへの登録。これらを駆使し、物件の認知度を上げて優先的に紹介してもらえる仕組みづくりを行うことが重要です。また、当社では過去に物件を案内してくれた営業マン、申込を頂いた営業マンをデータベース化し、より力のある営業マンに直接営業を行っています。

③わかりやすい募集広告

お客様・営業マンがひと目見て、魅力的に感じる募集広告にすることがポイントです。なかには「物件内外の写真(最低4枚)」「地図」「周辺施設」「設備」等、基本的な項目が掲載されていない広告も多くあります。管理会社に任せきりにせず、オーナー様自身で物件がどう広告されているのか、確認をしてみてください。

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2015年1月23日(金) 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(石井・駒まで)

お申し込みは こちら

 


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