空室対策のための戦略的イノベーション

第298回 財産承継研究会

空室対策のための戦略的イノベーション

講師
株式会社横濱快適住環境研究所
代表取締役 石川 龍明 氏

◉賃貸住宅市場の環境変化

今までの賃貸住宅経営は、建物を建ててしまえば、自然と入居者が入るものだと考えられてきました。

しかし現在は、物件数の増加によって住む部屋の選択肢は増え、晩婚化に伴う単身世帯の増加や少子化による家族数の減少等によって、3LDKのような広い部屋の需要は減っている等変化してきています。

また、入居者に関しても、家賃の安さ以上にその部屋自体の価値に比重を置くようになっています。

このような環境変化に伴い、空室になってしまうとなかなか入居者が決まらない、という状況が起こっています。そこでこれからの賃貸住宅経営では、オーナーも仲介業者に任せきりにせず、経営者として対策を考え行動していくことが必要です。

◉空室対策

1.ターゲットの明確化

空室になったときにまずすべきことは、ターゲットを明確にすることです。

ターゲットを明確にすることで効果的なリフォームや情報発信ができ、その後の成約につながる可能性も高くなります。

ターゲットを明確にするためには、物件の立地や周辺の施設、環境等から年齢層、職業等を絞っていくとよいでしょう。

2.内覧件数を増やす

ターゲットを絞ることができたら、ターゲットに向けた情報発信をし、内覧件数を増やすことが必要です。

現代の入居者は、いきなり不動産屋さんの窓口に来るのではなく、まずはインターネットで調べたり、口コミから情報を得たりしています。

そのため、情報発信する際は、検索件数の多い条件に見合った物件であることをアピールするとよいでしょう。

また、例えば入居者にしてもらいたい暮らし方を提示することで、生活のイメージを持ちやすくなります。

さらに、それに合わせたリフォームを行うことで客寄せとして内覧件数を増やすことが可能です。

3.内覧客へのおもてなし

実際に部屋を見に来てもらうことができたら、次は成約に向けた行動が必要です。

ここで重要なことは、お客様にその部屋での具体的な生活のイメージを持ってもらうことです。

例えば、玄関先に感謝の言葉を書いたウェルカムカードを置いておいたり、室内設備にアピールポイントや使用例を書いた紙を貼っておいたりすると、内覧客に親近感を持たせることができます。

また、物件を中心とした周辺地図を置くことで、その部屋での生活をより具体的にイメージしてもらうことが可能です。

4.入居者に長く住んでもらう

成約して入居してもらうことができたら、長く住んでもらうことが重要になってきます。

現代の入居者は、隣人とのつながりや絆を求めている傾向があります。

そのため、オーナーは入居者と定期的にコミュニケーションを取り、声掛けだけではなく、掲示板やちょっとしたイベントを開催するのもよいでしょう。

更新時にクリーニングのサービスやお米等のプレゼントをすることもひとつの方法です。

入居者に気持ちよく更新してもらうことができ、部屋を訪れる際に中の使用状況が確認でき
るという利点もあります。

そういった交流を通して、入居者に居心地のよい空間を提供していくことが空室を作らないことにつながると考えられます。

◉さいごに

上記の空室対策に重要なことは、入居者の視点に立って考え行動することです。冒頭でも申し上げましたが、賃貸住宅はもう「建てれば入る」時代ではありません。

しかし、入居者の視点に立ち、ちょっとした工夫を重ね、自分でも住みたくなるような部屋を作ることが空室を埋めることにつながります。

空室でお困りの方は、まずはできるところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2013年11月22日(金) 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(石井・駒まで)

お申し込みは こちら

 


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