第285回 財産承継研究会

信託を活用した財産管理・資産運用

株式会社LR小川会計渡部寛二

信託とは、言葉のとおり財産を信じて託すことをいいます。つまり、財産を信頼できる人に預け、預ける目的に従って管理してもらうことと言い換えることができます。

信託と聞くと、「株式投資信託」が一般的ですので、信託会社抜きに信託を利用することができないというイメージがあると思いますが、平成18年の「信託法」改正、それにともなう平成19年度税制改正により、「受益者等」(後述)と「信託財産等」との関係の明確化が図られ、信託会社を通さなくても、財産の管理や承継に活用することができるようになりました。そこで、今回は信託を活用した財産管理・資産運用を簡単に紹介したいと思います。

はじめに、信託では財産を預ける人のことを「委託者」、財産を預かる人のことを「受託者」言います。そして、預けられた財産から利益を得る権利を「受益権」、その利益を得る人のことを「受益者」と言います。

信託の活用方法の具体的なことの例として、

①年少者や高齢者の財産を親族が代わりに預かって管理したい場合に利用。
②遺言書の作成を検討している場合に利用。
③贈与を検討している場合に利用。
④無議決権株式の発行を検討している場合に利用。

等が考えられますが、今回は、①の高齢の親の財産を子が代わりに管理運用する場合に、信託を活用することに注目してみます。

一般的に、土地を所有している資産家は、賃貸マンションを建てたり、個人所有の賃貸物件を財産管理法人に売却するなど、種々の対策をおこなうことによって、所得対策・財産対策を実行しています。ところが、認知症を発症するなどご本人の意思確認ができなくなってしまうと、そういった有効な対策も不可能となってしまいます。後見制度を利用し、財産の管理をすることはできますが、処分等を行うことはできないため、有効な対策をしようとするときの妨げになります。

また、後見人は被後見人の財産を乱用していないか証明できるよう、入出金の詳細を記載し管理しなくてはいけないため、後見人の負担は想像以上に大きなものです。

そのため、LR小川会計グループでは財産管理法人を使った、財産管理委任契約を考えてきました。管理委任契約を締結することで、日常的な管理は法人で行うことができます。

しかし、これも財産の処分等をすることまではできません。

そこで、信託を利用することに注目しました。信託を利用することで、財産の名目上の所有権は、受託者に移ります。財産の所有権が受託者に移るわけですから、日常的に起こる、賃貸契約や修繕の契約等はもちろん、信託の目的に沿っていれば受託者の意思で財産の処分等をすることも可能となります。

信託では、受益者が財産に属する「資産及び負債」を有するものとしてみなし、かつ、そこから生じる「収益及び費用」を受益者のものとしてみなすため、設定時に受益者を委託者に設定しておけば、実質的な経済価値は移転しないと考えられます。そのため、不動産所得で課税されるのは委託者のままですし、受託者は信託された財産を預かっているだけということになりますので、贈与税等の課税関係も生じません。

このように、親子間でできる身近な財産対策のひとつとして、信託の活用を考えてはいかがでしょうか。

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2012年8月24日(金) 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(石井・駒まで)

お申し込みは こちら

 


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