これからの不動産賃貸業と相続対策

第282回 財産承継研究会

平成24年度税制改正のポイント
これからの不動産賃貸業と相続対策

これからの不動産賃貸業と相続対策

株式会社LR小川会計 小川 泰延

①建物を建てることによる相続税の節税効果

「借入をして賃貸物件を建てると相続税が安くなる」ということが言われていますが、相続税が安くなるのは借入の有無に関係なく、建物を建てる(現金が建物に替わる)からなのです。

相続税を計算する場合の建物の評価額は、一般的には建築価額の6~7割程度、賃貸物件の場合は更にその7割程度になります。そのため、現預金でもっている場合に比べて約半分の額で評価され、相続税の計算にあたっては現金(借入で調達したものを含めて)で持っているよりその金額分の相続財産が減少することになります。※詳しくは本誌(3/1号)2ページをご参照ください。

②生前贈与による相続税節税効果

生前贈与による相続税の節税効果を具体的にご説明します。例えば3億5千万円の相続財産があり、配偶者1名、お子さま2名いらっしゃる方が1千万円(500万円を2名に)贈与を行なった場合です。

まず3億5千万円から基礎控除8千万円(5千万円+1千万円×3名)が差し引かれ、課税される相続される財産は2億7千万円になります。その場合の相続税の税率は35%なので、贈与により1千万円課税財産が減ることで相続税は350万円安くなります。その1千万円(500万円×2名)の贈与に対する贈与税ですが、500万円の贈与に対しては実効税率10・6%で課税されるので、1名あたり53万円、2名分合計106万円になります。

つまり350万円106万円=244万円の節税効果があるのです。この金額は一例で各々の財産や相続人の状況等に合わせて節税効果は異なりますのでお気軽にご相談ください。

③一事業としての不動産賃貸業

今や、不動産賃貸業も一般事業(小売業、卸売業、製造業等)が自社の商品(製品)をどういう人たちに、どのように売っていくか考えるのと同じように立地や周辺の環境等に応じてどういう人たちをターゲットにして物件を建てていくかというマーケティングをしっかりしていかなければいけない状況になってきています。

例えば、ペットを飼う人専用のマンションや楽器を鳴らしたい人専用のミュージション、医療モールなどがあります。それらに共通するポイント(キーワード)は、何らかの『コミュニティ』が物件の内や外に形成されることではないかと思います。これからは『コミュニティ』をキーワードにした不動産活用のマーケティングやプランが必要になってくるのではないでしょうか。

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2012年5月25日(金) 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(石井・駒まで)

お申し込みは こちら

 


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