デジタル通貨の現在地:サンドダラーとバコンが示す未来と課題

海外通信 NO.121

今、国内外の金融業界でデジタルマネーの動きが加速しています。日本では、金融庁が円に価値が連動するステーブルコイン「JPYC」の発行を承認し、ゆうちょ銀行も2026年度にデジタル通貨「DCJPY」の発行を計画。米国ではステーブルコイン普及を目指す「GENIUS法」が成立するなど、世界中で大きな変化が起きています。

デジタル通貨の種類

❖ 中央銀行デジタル通貨(CBDC):国の中央銀行が発行する「法定通貨」で、無条件で受け取りが保証される法的強制力を持つ

❖ ステーブルコイン:民間企業が発行する「デジタル資産」で、法定通貨や金などの準備金によって、価値が安定するように裏付けられている

今回は、CBDCの事例として目的や進展状況が異なるバハマの「サンドダラー」とカンボジアの「バコン」をご紹介します。

サンドダラー(バハマ)

世界初の本格的なCBDCとして知られています。多島国家であるバハマでは、銀行支店がない離島住民が多く金融サービスへのアクセスが困難でした。誰もが安全かつ安価な決済サービスを利用できるよう、スマートフォンアプリや専用カードが導入されました。

しかし、現金やクレジットカードの利便性が依然として高く、特に高齢者層やデジタルに不慣れな人々にとって新しい決済手段への移行に抵抗があり、その普及はまだ限定的です。導入後の採用率は1%未満と低迷しており、バハマ中央銀行は商業銀行への配布義務付け法案を検討するなど、普及促進に注力しています。

サンドダラーの事例は、技術的なインフラを整備するだけでは、人々の行動変容を促すことは難しいという現実を表しています。

バコン(カンボジア)

銀行やモバイル決済事業者の通貨をつなぐ決済基盤として機能し、異なる金融機関間の送金をスムーズにする目的で導入されました。

当初は民間銀行の反対で利用が低迷しましたが、戦略転換とQRコード標準化により、2023年末には利用者1,090万人(人口の約3分の2)に達し、決済額はGDPの74%に匹敵。マレーシアなどとの国際送金も実現しています。カンボジア国立銀行はこれを「決済システム」と位置づけ、準CBDCとされています。

デジタルマネーの動きは、国や中央銀行レベルだけでなく、地域社会にも広がっています。せたがやPay(東京都世田谷区)やアクアコイン(千葉県木更津市)はスマートフォンアプリを活用したデジタル地域通貨の例で、使える場所や期間が限られているものの、地域経済の振興に貢献しています。

デジタルマネーは、全ての支払いに適しているわけではありません。特定のサービスや地域での利用、少額決済など、身近なところから取り入れてはいかがでしょうか。

 

 

 

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