地面師に騙されないために 〜地面師詐欺事件を読み解く〜
第417回 ロングリレーションズ倶楽部
テーマ:
地面師に騙されないために 〜地面師詐欺事件を読み解く〜
講師:
株式会社よすが
代表取締役 能登 知永子 氏 (司法書士 行政書士)
地面師とは、他人になりすまして不動産を売却し、代金を詐取する詐欺師のことです。犯行はグループで行われ、計画を立てる主犯格、所有者に成りすます役、証明書を偽造する役など、役割が分担されています。
不動産取引では、代金の支払いと登記申請が同時に行われますが、登記完了までに早くても1~2週間かかるため、地面師はこの期間を利用して代金を詐取します。
★地面師事件の事例
⚠積水ハウス海喜館事件
五反田の老舗旅館であった海喜館(うみきかん)はすでに廃業していましたが、所有者は土地を売却せず、この土地は業界内では売りに出ないことで有名でした。当時、真の所有者が長期入院中で面会謝絶の状況であり、偽の所有者になりすました、グループの用意した偽造書類を信用し、積水ハウスは約55億円の損害を受けました。
⚠アパホテル事件
事件時、対象の土地の所有者はすでに亡くなっていましたが、生前に資産管理会社に売却済みでした。しかし登記がされておらず、地面師グループは、所有者の偽の相続人を用意し、土地の売却話を持ちかけ、結果的にAPAグループは12.6億円を詐取されました。
⚠華僑なりすまし事件
土地の所有者は台湾華僑の男性で、長期間日本を離れていました。代金決済日の3日前にようやく所有者を名乗る人物と対面。本人であることを証明する公正証書を持参し、現役弁護士が関与していたため、東京都の不動産会社は6.5億円を詐取されました。
★狙われやすい不動産
・所有者が居住しておらず、管理が不十分な土地や高齢者が所有する土地
・抵当権などが設定されておらず、所有権移転が容易な土地
・都市部の一等地など、資産価値が高く、一度の詐欺で大きな利益が見込める土地
・所有者の住所変更登記がされていない土地
地面師事件は、所有者にも要因があることが見受けられます。土地を所有している方には、責任があることを忘れずに管理しましょう。

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