令和の米騒動
失言騒動
5月21日、江藤拓農林水産大臣が失言問題で辞任に追い込まれ、急遽、小泉進次郎氏が後任の大臣に就任し、「コメの価格高騰に対してスピード感をもって対応できるように全力を尽くす」と語った。
小泉大臣は着任早々、備蓄米を前大臣の入札方式から随意契約方式に切り替え備蓄米を放出したところ、それまで数カ月かかっても市場に出てこなかった放出備蓄米が、大臣着任間もない月末に店頭に並んだ。スピード感抜群の小泉大臣の実行力である。
米価は異常?
米の値段は昨年3月、2,000円台であった米価が昨年末には5キロ3,500円を超え、今年の3月には4,500円を超えようとし、政府は米価対策に取り組むことになった。政府は備蓄米放出を決め、慣例に従って入札方式で業者に売り渡した。
最高価格入札方式は慣例とはいえ、米価引き下げ対策としては不適切であった。値段を下げようとする時に、高い値段を付けたところに売る方式ではいかがであろうか。
米価を下げる目的であれば最低価格入札方式でもよいと思うが、小泉大臣は随意契約方式を取った。随意契約の方が米価(値段)を誘導しやすいのである。
シンガポールのディスカウント店に入ったところ、新潟産の米が2キロ12.80シンガポールドル(約1,400円相当)で並んでいた。5キロに換算すると32シンガポールドル(約3,570円強)である。どのような流通経路かわからないが、日本の銘柄米の4~5千円はどう見ても異常な気がする。シンガポールでの販売価格の現状と比較すると、日本国内における流通経路に問題があるのは明らかである。
小泉大臣が流通過程に手を入れ調査を実施することとしたことは大賛成である。
日本農業新聞コラム「四季」
6月10日掲載 日本農業新聞 コラム「四季」から、
にっこりとはいかないのが「令和の米騒動」。消費者の中には「これまで5キロ1000円台で買えたぞ」と憤る男性や、「主食が高くちゃ困ります」という年金暮らし女性も。物価高騰の中、安さを求める気持ちはよくわかる。でも農家だって利益がなければやっていけない。農家の危機的な状況が、今回の騒動になったのだから…、
「米の価格が下がっても問題解決にはならない。農家を皆でどう支えるかが大事では」
とあった。私も同感である。
棚田を守れ
アポロが月面に着陸し、宙に浮かぶ地球を初めて見た感動は今も鮮明に覚えている。地球は蒼くて美しかった。月から見た地球は「地球という一つの星という閉鎖社会」の中で人類がひしめいていることを実感させてくれた。
閉鎖社会と言えば、日本も地球という星の中で長い間、島国という閉鎖社会の中で平和で美しい四季に囲まれ、世界文明の中でも独自の日本文化を育んできた。島国日本では縄文時代、弥生時代の太古から米作りが行われてきた。その米作りの象徴が日本の原風景である棚田である。
宇宙の中の地球、地球の中の日本という大きな視野の中で「美しい日本」「人類のシンボルとしての日本」を後世に残す、その基本が自然を守る農林漁業政策にあると思う。
「農林水産業を、効率だけで評価して生産性の低い産業とせず、私たちのいのちを守る大事な産業」(※)と位置づけ、「棚田は日本の原風景のシンボル」として棚田を守る家族農業(※)を国土を保全する自然の「防人」として世界の宝となるような農政を望みたい。
稲作りは皇室の伝統行事でもある。
(※)中村桂子(著)『日本の「食」が危ない! 生命40億年の歴史から考える「食」と「農」』p.110、170より
LR小川会計グループ
代表 小川 湧三

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