副業・兼業と社会保険の手続き
近年、働き方の多様化が進む中で、副業や兼業を行う人が増えています。複数の会社で働くことは、収入の増加やスキルアップにつながる一方で、2カ所以上の事業所で社会保険の加入要件を満たすときは、健康保険と厚生年金保険に関する届出が必要になる場合があります。
◆社会保険の加入要件と手続き
2カ所以上の事業所で勤務する場合、それぞれの事業所ごとに社会保険の加入要件に該当するか判断します。例えば、A社とB社で正社員として勤務する場合や、A社で法人の代表者かつB社で正社員として勤務する場合など、それぞれの会社で社会保険の加入要件を満たすときは、両方の会社で社会保険に加入する必要があります。
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必要な手続きとしては、2つの事業所で資格取得の手続きが終わった段階で、被保険者本人が日本年金機構へ「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。この届出により、いずれか1つの事業所を主たる事業所として選択し、管轄の年金事務所及び保険者を決定します。
健康保険組合に加入する事業所を主たる事業所として選択する場合は、健康保険組合への届出も別途必要です。また、70歳以上の方は、「厚生年金保険70歳以上被用者所属選択・二以上事業所勤務届」の提出も必要となります。
◆保険料の計算方法
保険料は、それぞれの事業所で受け取る報酬月額を合算した額に基づいて計算されます。具体的には、まず合算した報酬月額によって標準報酬月額が決定されます。
次に、この標準報酬月額に厚生年金保険料率や選択した事業所の健康保険料率を乗じて算出された保険料額が、それぞれの事業所の報酬月額に応じて按分されます。按分された各事業所の保険料額は、日本年金機構から通知されます。
多様な働き方が広がる中で、社会保険の手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、適切な手続きを行うことで、安心して働くことができるようになります。

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