予測不可能な時代に備えて②
前月は、予測不可能な時代を乗り切るため、自由な発想でより多くの人と意見交換することの大切さに言及しましたが、今回は法制度についてです。
現在の法制度はいわゆる戦後国家体制が大きく変わって制定されたものが多くあり、基本的な枠組みができて70年経過しています。バブル崩壊、政権交代、パンデミック等、時代の要請に応じてそれなりに変化はしてきましたが、明治維新や敗戦時に起きた大転換はしていないと思われます。
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先日ある会合で、横浜や川崎の農地の有効利用について議論する機会がありました。高齢な地主が農業を続けられず、かといって、転用も難しい(相続税もその理由の一つ)ため、有効活用できない土地が多く存在します。
農地法は、戦後GHQが農業の民営化のため実施した農地改革により制定されましたが、農地は耕作者が所有することを原則とする「自作農主義」で、農地の集約化には否定的な制度です。
最近、法人による農地取得が若干緩和されたものの、基本原則は変わっていません。
むやみに農地が開発されることは決していいとは思いませんが、都市部での農地のあり方や全国に点在するいわゆる耕作放棄農地の有効活用について、原則を見直すべく議論を国民全員がすべきだと思います。
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農地法を例に取りましたが、他にも多くの法制度が時代にそぐわないものがあると思います。猛烈に時代が変化(VUCAの時代)していると聞いても、日々の変化はおそらくゆっくりです。
しかし、気候変動、AI、国際的な枠組みの変化等、確実に時代は変化しています。時代に合わない法制度が変化の障壁になっているならば、すぐにでも転換する必要があります。
少しの変化に気づかない「ゆでガエル状態」になり、気づいたときにはもう手遅れということは避けなければなりません。
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「個人の力で変えることは不可能」と思われるかもしれませんが、一人ひとりが関心をもち、それぞれの立場から声を出して意見交換を始める。それが手遅れにならない第一歩ではないでしょうか。
税理士法人LRパートナーズ
川崎事務所 所長 山下 功起

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