金投資の特徴と注意点
クローバー通信 No.233
今この時期に金の保有割合を急激に増やす事は、高値で購入する可能性があり、いずれ価格が下がり損失が出る事も考えられます。
今回は金投資の特徴と目的、注意点など見ていきましょう。
1 金の特徴
金は限りある希少性の高い資源として、宝飾品、地金・コインの他、産業用の資源として重要な役割を果たしています。
【供給の内訳】
鉱山生産 73%
リサイクル 27%
(World Gold Council Q2 Gold apply and demandより)
【需要の内訳】
ジュエリーなど宝飾品 33%
テクノロジー 6%
中央銀行による保有 15%
投資 46%
また、金はその物自体に価値がある実物資産です。物でありながら「世界に通用するおかね」として普遍的な価値を保ち続け、金の保有量がその国の通貨を安定させる要因として機能しています。
世界経済のネタ帳より https://ecodb.net/commodity/gold.html
現在金価格は、円建てで1グラム14,400円前後、米ドル建てで1トロイオンス2,700ドル前後で推移しています。
(2024年10月21日現在 田中貴金属工業HP・金先物CMXより)
2 金価格変動の要因
世界的なコロナウイルスの流行、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエル紛争中東情勢の悪化など、景気の後退局面や需要増、戦争や紛争などの政治・経済情勢が不安定な「有事」の時に金価格は上昇しやすい傾向にあります。その他、以下の様な要因が考えられます。
3 金を保有する目的
⒈ インフレリスクへの備え
⒉ 資産分散
⒊ 宝飾品としての楽しみ
⒋ 短期的に売買益を狙う(投機)
インフレリスクへの備えとして、資産分散の一つとして、金の組み入れは有効です。
世界の金融システムが混乱に陥ったり、通貨が暴落しても、手元に現物資産として残り、価値がなくなる事はありません。
また株式や通貨と違う値動きをするので、リスクの分散になります。
インフレリスクとは?
物価の継続的な上昇(インフレ)によって、金融商品の実質的価値が低減するリスクのこと。現金や固定金利の定期預金・債券などがインフレリスクに弱い商品といわれています。
4 金保有の方法
金地金取引
メリット:金の現物を手元で保有できる
デメリット:盗難リスクあり、保管コストが掛かる、手数料が高い
金地金
地金は地金商や金属メーカーなどで、最低5g~1kgのBarを購入可能
金貨
金地金価格に加工コスト・流通コストが上乗せされた形で取引され、宝飾店やデパートなどでも購入可能
「ウィーン金貨ハーモニー」「メイプルリーフ金貨」
1オンス=31.1035g(約46万円)~1/10トロイオンス(約5万円)など
純金積立
メリット:少額から始められる、自動積立ができる。盗難リスクなし、金の現物に交換できる
デメリット:手数料が高め、保管方法により運用会社の破綻リスクあり
金地金を毎月口座引落しで少量ずつ積み立て購入する
インターネットで申し込み、売却、金現物の引き出しなどができる
有価証券
メリット:証券口座で管理できる、盗難リスクなし、分別管理されるため運用会社の破綻リスクはない
デメリット:金を手元に保有できない(保有できるETFもあり)
金ETF
国内の証券取引所に上場しており株式と同じ様に証券会社で売買できる。直接金現物に投資する商品と、金価格連動債券へ投資し金現物の裏付けがない商品がある。数千円~数万円から取引でき、一部金と交換可能な場合も。
購入・管理手数料が安い。
投資信託
金に連動する投資信託。証券会社や銀行で購入できる。
少額から始められ、自動積立も可能だが、金ETFに比べて管理手数料が高め。金の現物と交換する事はできない。
金投資のメリット
❖ 実物資産。鉱物で量に限りがあり、無価値にならない
❖ 世界で価値が共通
金投資のデメリット
❖ 金取引は米ドル建てで行われるため、国内の金価格は為替の影響を受ける
❖ 預貯金や株式と異なり利息や配当を生まない
注意! 特定保管 と 消費寄託
特定保管
投資家が所有権を持ち、金地金専門の保管場所で、保護預かりまたは保管契約によって保管される。保管会社の破綻によるリスクはないが、保管料がかかる。
消費寄託
購入した金の所有権が運営会社に移転し、その金を運営会社が運用できる仕組み。いつでも返還請求はでき、保管料はかからないが、運営会社が破綻した場合には戻らないリスクがある。
まとめ
この他に、記念硬貨やアンティークコインなどは、コレクターとしての楽しみであり、資産価値が下がりにくいのも特徴です。世代を超えて引き継げる資産として保有するのも良いでしょう。
有事の金買いではなく、いざという時(有事や他の資産価値が下がっている時)に、売却して資金を使えるように、資産形成として純金積立を継続し、有事の備えや、次世代への承継に換金性の高いコインなどを保有するなど、資産の一部に金を組み入れることをお勧めします。
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