第72回 業務に生成AIを活用する方法④
情報セキュリティ連載
試される人工知能「チャットGPT」の実力
生成AIに関するサービスが日々リリースされる中、Googleから「NotebookLM」というサービスの日本語対応が2024年6月に開始されました。「NotebookLM」は、簡単に言うとAI機能が追加されたメモアプリです。メモした内容から学習や業務の提案や補助を自動で行うAIサービスで、従来のチャット型AIとは異なり、ユーザーがアップロードした資料を基に、情報収集や分析を支援する点が最大の特徴です。
NotebookLMの外観
写真はNotebookMLにPDFをアップロードしたもの。PDFの内容を読み取り概要を生成、そこから質問やPDFの内容に基づく質問などのボタンが出現します。
1 NotebookLMの実力検証
従来のチャット型AIは、質問に対して自由に回答を生成するため、根拠のない情報や誤った情報を提示してしまうことがあります。一方、NotebookLMはユーザーがアップロードした資料(PDF、Word、画像、スプレッドシートなど)をソースとして活用し、根拠に基づいた回答を生成します。下記の例で検証をしてみます。
例)国税庁資料「給与等の源泉徴収事務に係る 令和6年分所得税の定額減税のしかた」
上記のPDFをNotebookLMへアップロードし、「扶養控除対象の妻と3人の子供がいる夫の定額減税の金額はいくら?」と質問してみます。
NotebookLMの回答
「扶養控除対象の妻と3人の子供がいる夫の場合、月次減税額は150,000円となります。
これは、「本人 30,000円」と「同一生計配偶者と扶養親族1人につき 30,000円」との合計額で計算されます。
この場合、「同一生計配偶者と扶養親族の数」は4人(妻1人+子供3人)となるため、以下の計算式で算出できます。
30,000円(本人分) + 30,000円/人 × 4人(同一生計配偶者と扶養親族分)= 150,000円
ただし、これは月次減税額であり、年間の減税額は、給与所得や年末調整によって変動します。また、この計算は、提示された情報に基づいており、実際の税制とは異なる可能性があります。
詳細については、国税庁のホームページなどを参照してください。」
さらに追加の質問を追加します。
「3人のうち1人はアメリカへ留学中です。これも対象になりますか?」
NotebookLMの回答
「お問い合わせの「3人のうち1人がアメリカへ留学中」という状況に関して、ソースからは明示的な情報が見つかりません。
しかし、ソースには、「居住者」とは、国内に住所を有する個人⼜は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいい、居住者以外の個人である「非居住者」は、定額減税の対象とならないと記載されています。
このことから、アメリカへ留学中の子供が日本の居住者にあたるか、非居住者にあたるかによって、定額減税の対象になるかは変わる可能性があります。留学中の子供の状況を踏まえ、居住性の判断基準を満たすかどうかを、確認する必要があると考えられます。
詳細については、税務の専門家にご相談いただくか、国税庁のホームページ等で最新の情報をご確認ください。」
と回答され、情報元には明示されてないことを前提とした上で、情報源から推測できる回答を示しています。
従来のチャット型AIでは、論文の内容を誤解したり、根拠のない結論を導き出したりする可能性がありましたが、NotebookLMは論文の内容を忠実に再現し、信頼性の高い情報収集を支援しています。
2 NotebookLMは業務の強い味方
生成AIが様々なサービスに影響を及ぼしており、仕事を奪われるという恐怖感を抱かれる方が多いですが、抱かれる方へ逆に「例えば全然知識のないものについて、NotebookLMのようなツールで答えを得て、それで100%自信がもてますか?」と質問します。
大体の方が自信は持てないと回答されます。
やはり人は知りたいことに知識のある方や専門家からの答えに安心を得るようです。
生成AIが業務を奪うと一部で言われていますが、それは人が生成AI慣れするかどうかだけのことであり、上手に関わり合いを持てば強力な味方になります。
どう慣れればいいか?NotebookMLに趣味や好きなことの情報をアップロードし、そこから質疑応答してみてください。しっかりとした回答を示します。
意識して様々なシーンで生成AIを利用する。使用する癖がつく頃には、仕事を奪われる等の感覚は消えていると思います。逆にないと困ってしまう程の存在になっていると思います。
使用している者として、これははっきり言えることです。
生成AIツールを使用する上で、学習したもの流出等のシステム要件については確認が必要ですが、その点だけ確認するようにいただければ、なくてはならない存在になります。
是非一度、このNotebookLMに触れてみることをお勧め致します。

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