インフレ時代の生活防衛

クローバー通信 No.247

物価上昇が続くインフレ時代において、従来の家計管理の常識だけでは、実質的な購買力の低下を避けられず、生活の維持が困難になるリスクが高まっています。

私たちにできる対策について見ていきましょう。

1 インフレと家計の見直し

インフレとは「インフレーション」の略で、モノやサービスの価格(物価)が全体的に継続して上昇し続ける状態のことです。

物価が上がると、同じ金額で買えるモノやサービスが少なくなるため、お金(現金)の価値は相対的に下がっていることを意味します。

一般的には、需要が供給を上回る好景気時に発生しやすいですが、原材料費の高騰などによっても引き起こされます。

固定費の見直し

インフレ下で生活費が増加する要因は、食費や光熱費などの変動費の上昇だけではありません。家計の重荷となるのは、毎月定額で発生する固定費です。

一度見直せば継続的な節約効果が得られるため、一時的な我慢を伴う節約よりも、構造的な改善につながります。

❖ 住居費(家賃交渉、住宅ローン借り換え)
❖ 通信費(格安SIMへの乗り換え、不要オプションの解約)
❖ 保険料(過剰な保障の見直し、必要な保障への絞り込み)
❖ 不要なサブスクの解約 など

小さな額でも積み重なれば大きな節約になります。これらの契約やサービスは、ライフスタイルや経済状況の変化に応じて、定期的に(少なくとも年に一度)「本当に必要か」「より安価な代替手段はないか」をチェックする習慣を身につけることが重要です。

2 インフレに負けない「資産防衛」と「資産形成」

インフレは現金の価値を確実に目減りさせるため、単に貯蓄するだけでは不十分です。物価上昇に対応し、実質的な資産価値を維持・向上させるためには、リスクを理解した上での「資産形成」が必須となります。

インフレ対策の基本は、「現金」の比率を減らし、「インフレに強い資産」へ分散投資することです。

生活防衛資金の確保:

まずは生活費の6カ月~1年分を目安とした現金を普通預金に確保し、突発的な事態に備えます。

余剰資金を運用へ:

それ以外の余剰資金をインフレに強い資産に分散して投資します。ただし、毎月の家計の残額を投資に回すのではなく、予算を決めて先取り投資するのがポイントです。

3 インフレに強い資産とは?

インフレに強い資産とは、物価上昇局面においても実質的な価値が目減りしにくい、あるいは価値が上昇しやすい傾向にある資産です。

⑴ 実物資産(現物資産):モノ自体の価値が上がる資産

インフレとは、モノやサービスの価値が上がり、お金(現金)の価値が下がることです。そのため、現金ではなく、それ自体に価値がある「モノ」として保有する実物資産は、インフレに非常に強いとされます。

❶ 不動産(REITを含む)

物価が上昇すると、不動産(土地・建物)の価格も上昇する傾向があります。また、賃貸物件の場合、インフレに伴い家賃収入も引き上げやすくなるため、収入と資産価値の両面でインフレ対策になります。

注意点:取得に多額の資金が必要で、維持管理コストや流動性(換金のしやすさ)の低さといったデメリットもあります。REIT(不動産投資信託)を利用すれば、少額から不動産に分散投資できます。

❷ 金(ゴールド)

金は世界中で普遍的な価値を持つ商品であり、「有事の金」とも呼ばれるように、経済が不安定な状況やインフレ時においても価値が下落しにくい傾向があります。特定の国のデフォルトリスクなどにも左右されにくいのが特徴です。

❸ アンティーク品・高級ブランド品・美術品

生産量が限られているものや希少価値が高いものは、需要が安定しており、インフレ下で現金価値が目減りする中でも、価値が維持・上昇しやすい現物資産となります。

⑵ 株式・投資信託:収益がインフレと連動する金融資産

企業が発行する株式や、それを投資対象とする投資信託も、一般的にインフレに強い資産とされています。

❶ 株式投資

インフレが進むと、企業は自社の製品やサービスの価格を上げやすくなります。

これにより売上が増加し、業績が向上すれば、株価の上昇につながることが期待できます。

注意点:すべての企業が価格転嫁できるわけではないため、銘柄選定は重要です。特に、食品や日用品、エネルギーなど、生活に不可欠で需要が安定している業種の株式は、インフレ下でも価格転嫁しやすい傾向があり、比較的強いとされます。

❷ 投資信託(特に株式型ファンド)

投資株式やインフレに強い実物資産を投資対象とする投資信託(例:全世界株式、S&P500、コモディティ関連ファンドなど)は、少額から手軽に分散投資ができ、インフレ対策に有効です。特につみたてNISAなどの非課税制度を活用した長期・積立・分散投資は、インフレに負けない資産形成の基本戦略です。

⑶ 外貨建て資産:円の価値に依存しない資産

日本国内のインフレは日本円の価値が下がることを意味します。このリスクを避けるため、日本円以外の通貨で資産を保有することは有効な対策です。

❶ 外貨預金・外貨建てMMF

米ドルやユーロ、高金利通貨など、日本円以外の通貨で資産を保有することで、円安が進行した場合に為替差益が得られ、円資産の目減りを補うことができます。

注意点:為替変動リスク(円高に戻ると損をするリスク)があります。

❷ 外貨建ての保険商品(終身保険、個人年金保険など)

外貨で資産運用を行うことで、円建て資産のみを保有するリスクを分散できます。運用が好調な場合、インフレによる価値低下の影響を受けにくいとされる変額保険も選択肢の一つです。


投資にはリスクがありますが、株式や投資信託などを持つ人と持たない人で資産格差が進みつつあります。

日本人の現預金比率は国際的に見ても非常に高く、個人資産の約50%を現預金で持っています。実は「守っているつもりで減らしている」状態から脱却し、インフレに強い資産への配分を意識することが、生活基盤を守るための第一歩となります。


まとめ

インフレ時代の家計管理を成功させるために必要な事は、これらの取り組みを単発で終わらせず、無理なく習慣化することです。

そのためには、まず自分の支出を正確に把握することが重要であり、家計簿アプリやキャッシュレス決済の活用による支出の自動記録が有効です。

これにより、無駄遣いを可視化し、改善点を見つけることができます。節約や投資は「我慢」ではなく、「目標(住宅購入、教育費、老後資金など)を達成するための手段」として明確な目的を持つことで、モチベーションを維持しやすくなります。

さらに、経済環境の変化に対応するためには、情報リテラシーの向上が不可欠です。金利、為替、物価の動向、税制改正、利用可能な補助金制度など、お金に関する知識をアップデートし、自分の家計やライフステージに合った方法を、自分で選ぶ必要があります。

一つの手段に固執せず、複数の選択肢を比較検討する姿勢が大切です。

 

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