身近になった相続税
今回は、「身近になった相続税」と題しまして、近年の相続税の課税状況を説明させていただきます。
国税庁では、毎年12月に前年に亡くなられた方(被相続人)に係る相続税の申告の概要を報道機関に提供するとともに、国税庁のホームページにも公開しています。
令和6年12月に公開された「令和5年分相続税の申告事績の概要」によると、令和5年中にお亡くなりになった方は、157万6016人で、このうち相続税が課税された被相続人は15万5740人となっています。
課税された被相続人の数を亡くなられた方の総数で割ると9.9パーセント(課税割合)となり、亡くなられた方のおおむね10人に1人の方が相続税の課税対象となっています。これは、前年の9.6パーセントから0.3ポイント上昇しています。
この課税割合は、不動産価格が高額な都市部においては、さらに上昇します。
東京国税局管内(東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)では、亡くなられた方32万254人に対し、相続税が課税された方は、4万9356人で、課税割合は15.4パーセントに達し、おおむね6.5人に1人の方が相続税の課税対象となっています。前年の課税割合15.0パーセントから0.4ポイントの上昇となりました。
この課税割合については、相続税の基礎控除が引き下げられる前の平成26年分においては、全国で4.4パーセント、東京国税局管内で7.5パーセントでした。基礎控除が引き下げられた平成27年分では、全国で8.0パーセント、東京国税局管内で12.7パーセントとなり、その後、コロナ禍と思われる一時的な下落もありましたが、右肩上がりに上昇しています。
現在、首都圏の地価は上昇傾向にあり、日経平均株価も最高値を更新するなど、お持ちの資産価値が増加しており、この課税割合は更に上昇していくものと考えられます。
課税割合の上昇は、相続税が一部のお金持ちだけに課税される特別な税金から一般の事業者の方や元会社員の方などにも課税される身近な税になったものと考えられます。
次号では、申告された相続財産の構成についてお話させていただきます。
税理士法人LRパートナーズ
川崎事務所所長 嶋田 栄一

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