本年成立!! 年金制度改革関連法の概要②

本年6月に年金制度改革関連法が成立しました。前回に引き続き、事業主・被保険者にとって特に影響の大きい改正点を解説します。今回は、「在職老齢年金制度の見直し」「標準報酬月額の上限引き上げ」についてご説明します。

①在職老齢年金制度の見直し(2026年4月~)

在職老齢年金とは、厚生年金に加入しながら、または現役時代と同程度の労働時間で、働きながら受け取る老齢厚生年金のことです。

在職老齢年金制度では、賃金と老齢厚生年金の合計が一定の基準を超えた場合、老齢厚生年金の一部、または全部が支給停止(減額)されます。この基準となる額が引き上げられます。年金のために「働き控え」をしていた高齢者が年金を減額されにくくなることで、人手不足の解消につながると期待されています。

【改正内容】

年金の減額の対象となる基準額が、現在の月51万円から62万円に引き上げられます。

【施行時期】

2026年4月から施行されます。

【お客さまへの影響】

改正後は、老齢厚生年金と賃金の合計が62万円以下であれば、年金を全額受給しながら働けるようになります。約20万人が新たに全額受給できるようになると見込まれています。

②標準報酬月額の上限引き上げ(2027年9月~段階的に)

厚生年金等の保険料や年金額の計算に使う賃金の上限が、段階的に引き上げられます。

【改正内容】

標準報酬月額の上限が、段階的に現在の月65万円から月75万円に引き上げられます。

【施行時期】

・2027年9月から68万円に引き上げ
・2028年9月から71万円に引き上げ
・2029年9月から75万円に引き上げ

【お客さまへの影響】

月65万円を超える賃金を得ている方は、月々の保険料は上がりますが、より現役時代の収入に見合った年金を受け取れるようになります。前述の在職老齢年金制度の見直しや、保険料控除後の手取り額にも影響するため、賃金や役員報酬などの見直しが必要となる場合があります。

特に役員報酬は、改正前から改正後を見込んで決定する必要があります。

今回の改正は、単に給付を絞るのではなく、持続可能な制度の構築を目指すものです。制度全体では年金の給付水準は向上するとされています。

 

 

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