「デジタル遺言」最前線:エストニアから学ぶ未来の相続
海外通信 NO.120
デジタル遺言とは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を用いて作成される遺言のことです。
現状、日本の民法では、法的に有効な遺言書の形式として、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類が定められており、原則として「紙」での作成・保管が求められていますが、デジタル遺言では、
❶手書きの負担がなくなり、いつでもどこでも手軽に作成・修正できる
❷クラウドなどで保管することで、紙の遺言書のように紛失するリスクが減る
❸遺言書だけでなく、終活アプリなどを活用することで終活全体をデジタル上で完結できるようにする
上記の内容を目指し、日本でも2026年を目途に新制度の導入に向けて関連法の改正がすすめられています。
電子国家として世界をリードするエストニアでは、国民に付与されている「e-ID」(電子ID)に個人認証機能を備えています。このe-IDを用いた電子署名は、自筆署名と同等の法的効力を持ち、法的に有効な電子遺言を作成することが可能です。
さらに、エストニアでは遺言書が中央データベースに登録される仕組みがあり、相続人は遺言の有無や内容を迅速に確認でき、相続手続きの効率化が図られています。また、故人のデジタル資産(メール、SNS、クラウド上のデータなど)に遺族がアクセスするためのルールも法的に整備されており、故人のプライバシー保護と遺族の承継権のバランスが考慮されています。
エストニアの事例は、デジタル技術を法的な枠組みに組み込むことで、相続手続きをよりスムーズに、そして安全に行うことができる未来を示唆しています。
一方、韓国では、民法で「録音遺言」が認められている点が特徴的です。これはデジタル技術を活用した遺言の先駆けと見なすことができますが、電子署名や動画による遺言に直接的な法的効力は認められていません。デジタル遺産の管理・承継に関する法整備の議論は進んでおり、今後の動向が注目されます。
アメリカやカナダでは、一部の州では先行して州法で電子遺言を法制化していますが、セキュリティ面など課題も残っています。
今や、私たちの生活はデジタルデータであふれていますが、日本では「デジタル資産」の法整備はなされていないのが現状です。個人アカウントがわからなければ、「負の遺産」として埋もれてしまいます。いざという時に慌てないために、利用しているサービスやアカウントなどを一覧にしておくとよいですね。
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