「企業価値」って何?
前回株主総会において、「企業価値向上のため」の議論が活発化してきたと申し上げましたが、そもそも企業価値って何でしょうか?
概念的には、企業全体の経済的な価値ですが、具体的な評価方法として、
① 将来の利益予想やキャッシュフロー予想に基づいて評価する「インカムアプローチ」
② 会社の資産や負債を基に評価する「コストアプローチ」
③ 類似企業の株価や取引事例を参考に評価する「マーケットアプローチ」
があり、上場企業は時価総額(株価×発行株式総数)を企業価値とみなすこともあります。
このように企業価値といっても複数の評価方法があり、これが絶対という評価はありませんが、未上場会社の価値を知ることは重要ではないでしょうか。
会社(株式)の評価といえば、相続税のために評価する「純資産価額方式」がよく知られていますが、この方法は、会社が清算した場合に株主に分配されるはずの正味の財産価値を評価するもので、継続して事業を行っていく「企業価値」の評価としては適切ではないと思います。
なぜなら、企業の価値は土地や機械等の有形資産以外に、法的な権利、ブランド、組織力、製造上の秘訣、ノウハウ等、無形資産が大きく影響しますが、それらが評価対象となっていないからです。とはいえ、客観的に評価することは極めて困難で、企業買収時に、買収価格から純資産価額を差し引いた差額を無形資産たる営業権(のれん)として計上することがありますが、無形資産の評価として適切かどうかは不明です。
企業価値は、評価方法や目的により複数の評価が算定され、ピンポイントで算定することは不可能ですが、おおよその価値を知るためには、「純資産価額方式」で清算価値を、「インカムアプローチ」で将来稼ぐ力としての価値を算定することにより、企業価値のレンジ(幅)を知ることができます。
ある程度正確な評価は専門家に依頼する必要がありますが、基本的な算定方法は参考書やネットでも入手可能ですので、頭の体操として一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
税理士法人LRパートナーズ
川崎事務所 所長 山下 功起

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