アメリカ遺族年金と相続税:国際化時代の意外な落とし穴
海外通信NO.119
近年、グローバル化の進展により、海外に資産を持つ方の相続が複雑化しています。特に、アメリカの遺族年金(Social Security Survivors Benefits)は、その特殊な取り扱いから日本の相続税において重要な論点となっています。
日本の公的遺族年金が非課税であるのに対し、アメリカ遺族年金は、日本の相続税法上「契約に基づかない定期金に関する権利」、つまり「みなし相続財産」として課税対象となります。この課税の妥当性については現在も裁判が続いています。
評価方法と注意点
アメリカ遺族年金の評価額は、将来受け取る権利の相続開始時点における現在価値で計算されます。これは相続税法上の「終身定期金」として扱われ、「1年当たりの平均額 × 複利年金現価率」で算出されます。
【2025年 試算】70歳女性遺族年金平均月額1520ドル
⒈1年当たりの平均受給額(為替レート148.03円7/18現在)
1,520ドル × 12カ月 × 148.03円 = 2,700,067円
2.余命年数21年(相続開始日時点の完全生命表より)女性
3.複利年金現価率の計算16.185
(国税庁HP「定期金に関する権利の自動計算」ツールにて計算)
4.米国遺族年金受給権の評価額
2,700,067円 × 16.185 = 43,700,584円
この金額が相続財産に加算されるため、相続税額に大きな影響を与える可能性があります。申告時に含めなかった場合、税務調査で指摘され、加算税や延滞税が課されるリスクがあるため注意が必要です。
社会保障協定と税務上の取り扱い
日本とアメリカを含む多くの国は「社会保障協定」を締結しており、これにより二重の社会保障費の支払いを防いだり、年金加入期間を通算したりすることが可能です。しかし、これらの協定は主に保険料の徴収や年金受給資格に関するものであり、受給後の日本の相続税法上の取り扱いまでをカバーするものではありません。個別の状況に応じた税務上の確認が不可欠です。
専門家への相談を
海外に資産がある場合の相続は非常に複雑です。特にアメリカ遺族年金のように、日本の税法上の取り扱いが独特なケースでは、事前に社会保険事務所の相談窓口や税務の専門家に相談の上、正確な評価額や税務上の取り扱いを確認し、適切な手続きを行いましょう。
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