総会シーズンが終わって
6月は上場会社の株主総会、各公益法人や団体等の総会が各地で多数開催されました。私も、税理士会等複数の総会に出席しましたが、多くは上程された議案の説明を受け、賛成するというスタイルで進む総会でした。
しかし、報道によりますと長時間を要した株主総会が増加し、その要因として、株主からの議案提出が過去最高であったそうです。
株主提案は株主なら誰でも行使できる権利というわけではなく、
① 総株主の議決権の100分の1以上または300個以上の議決権を有していること
② 株主提案権の行使日の6カ月前から継続して保有していること
が要件です。
上場会社の多くは100株を1単元株(1議決権)としていることから、3万株を保有していれば提出可能ですが、株価が1,000円の場合は3,000万円、100円なら300万円で提案が実施できます。
報道された株主提案の内容を見ると、ある著名人を取締役に、といった単に話題作りのためだけの提案もありましたが、「物言う株主」と言われているアクティビストが「企業価値の向上に資するため」提案した議案については、いわゆる機関投資家と称される金融機関等も真剣に議論して賛成・反対の態度を決めているようですし、「議決権行使助言会社」なる法人が、中立的な観点から賛成、反対の推奨を行っているようです。
株主提案が行われた場合、会社側はその提案が「企業価値の向上」に資するものか否か検討のうえ、株主総会に取締役会の意見を提出し、最終的には株主総会で賛否が決定されます。いずれも「企業価値の向上」を目的として議案提出しますが、アクティビスト側は、キャッシュを高額配当や自己株式取得等に使用すべきとの提案に対し、会社側は研究開発等、投資にも使用すべきと反対することが多いような気がします。「企業価値」を長期的、短期的、いずれの視点から考えるかによって意見が異なるようです。
企業価値を向上させるため株主総会が活発化することは好ましいことですが、会社が永続的な存在と考えるのなら、ぜひ長期的な視点で議論を行ってもらいたいものです。
税理士法人LRパートナーズ
川崎事務所所長 山下 功起

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