遺族年金の改正と民間保険の活用

クローバー通信 No.241

2025年6月13日の参議院本会議で「年金制度改革関連法」が可決・成立しました。パート労働者の厚生年金への加入や、基礎年金の底上げのために厚生年金資金を活用するなど制度の根本にかかわる改正となっています。その中で注目を集めているのは、遺族年金の見直しです。

今回は見直しの内容と、遺族年金が削減される場合に準備したい生命保険についてみていきましょう。

1 遺族年金制度の改正

今回成立した法案では、遺族厚生年金の男女差の解消を目的とし、見直しが行われます。2028年4月実施予定。

改正のポイント

子どもがいない40歳未満の女性や60歳未満の男性は、原則5年間の有期給付とし、その間年金額を通常の約1.3倍に増額する。
❖ 障害を持つ方や収入が一定基準に満たない方は、有期給付終了後も継続して給付を受けられる。
❖ 子どもが18歳の年度末までの間は現行制度が適用され、その後5年間は増額された有期給付が加わる。

子どもがいる世帯に大きな変更はありませんが、子どもがいない・子どもが巣立った専業主婦にとっては、今まで貰えるはずだった遺族年金が縮小される為、ライフプランに大きな影響が出ます。

このような場合に備え、生命保険で準備ができていると安心です。

もう一度生命保険についておさらいしていきましょう。

2 生命保険の基本契約

生命保険の基本契約は以下の3つです。どの保険も分解すると、この基本となる契約に様々な目的の特約が付いた形になっています。

生命保険の基本契約

 

3 団体保険・共済の活用

勤務先で加入できる団体保険や共済を確認しましょう

企業や公共団体に勤めている場合、勤務先の団体保険や共済に加入できる場合があります。団体契約となるため、保険料が安いのが特徴です。手続きも簡単なので、既存保険の補完としても有効です。

◆ 団体保険(グループ保険)とは?

・ 1年更新型の掛け捨てタイプが基本
・ 定期保険のほか、医療保険、普通傷害保険がある
・ その団体に所属している限り加入することができる

Aグループ保険:

 条件を満たす従業員全員が強制加入
 保険料は企業負担

Bグループ保険:

 従業員が任意で加入することができる
 保険料は従業員本人の負担

メリット:

 一般の保険と比べて保険料が割安になる
 加入に必要な告知が最小限で、簡単な手続きで加入することができる

デメリット:

 退職すると契約は終了し、継続できない
 1年更新型の場合、年齢が上がると保険料が高くなる

◆ 共済とは?

協同組合など非営利団体が、組合員の助け合いを目的に運営しており、加入は原則組合員のみ。

掛け金が安く、保障内容が一律の場合が多い。剰余金が生じた場合は組合員に還元する仕組みとなっている。

4 収入保障保険への加入

収入保障保険とは?

定期保険の一種で、死亡・高度障害の時に遺族の毎月の生活資金をサポートする商品

【特徴】

① 死亡保険金を遺族が年金方式で受け取る
② 死亡時期が遅いほど、遺族の受取給付金の総額が減る
③ 通常の定期保険に比べ保険料が割安

子どもの成長と共に必要保障額は減っていくので、自分で保障を見直す必要のない合理的なしくみです。

また、年金形式なので保険金を一度に受け取り、使いすぎてしまう心配もなく、計画的で安心とも言えます。

多くの商品で、年金月額や受取方法、最低支払保証(受け取り)期間などが選択できるようになっています。

収入保障保険

◆ 注意したいポイント(収入保障保険)

⒈ 失業しても保険金は受け取れない
⒉ 老後に年金が受け取れるわけではない
⒊ 保険金を年金方式で毎月受け取る場合は雑所得として課税の対象となる

保険金受取人の収入が増えて、税金や国民健康保険料が大幅に上昇してしまうケースがあります。

一時金として受け取ることも可能ですが、その場合は受取金額が減額される事を覚えておきましょう。

まとめ

共働きが一般的になってきているものの、結婚や出産、家庭とのバランスなどを理由に、退職やキャリアダウンする女性は珍しくありません。妻が非正規雇用や時短勤務を選ぶことで収入が減るケースも多く、大黒柱の夫が亡くなった後、職歴にブランクがある女性が再就職する難しさも依然として残ります。

保険での備えがある事は安心を買う事につながるでしょう。

保険金の受け取り方については、一括の受け取りの方が税制上は有利となりますが、受け取った資金の運用を考えると、資産の運用に関して自信がない場合には、年金形式で受け取る方が負担が少ないでしょう。もちろん貯蓄で対応することも可能です。その人・家庭に合った商品・受け取り方を選びましょう。

 

 

 

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