雇用仲介業者の禁止ルールの追加〈職業安定法の改正〉
令和7年4月1日から、職業安定法に基づく省令および指針が改正されました。これにより、雇用仲介サービスの透明性が向上し、事業者と求職者双方にとってより公正な環境が整備されます。
背景には、一部の求人サイトが「お祝い金」と称して求職者に金銭を提供し、応募を促進していた問題があります。
お祝い金制度は、求職者の応募意欲を高める目的で導入されましたが、実際には短期間での離職が増加し、企業側の採用のミスマッチが生じる要因となっていました。
また、求職者が金銭目的で応募を繰り返すケースもあり、結果的に企業にとっても不利益が大きい状況となっていました。
こうした問題を防ぐため、今回の改正によりお祝い金の提供が原則禁止とされました。
他にも、職業紹介事業者や求人情報を提供する事業者に対し、新たな義務が課されるため、企業の人材採用活動に影響を及ぼします。以下に改正の重要なポイントを3つご紹介します。
1 職業紹介事業者の手数料実績の公開義務化
職業紹介事業者は、求職者の就職決定時に求人企業から受け取る紹介手数料の実績を「人材サービス総合サイト」へ掲載することが義務付けられました。
これにより、企業は職業紹介サービス利用時の料金体系を確認しやすく、手数料の適正性を判断する指標として活用でき、より公平なマッチングが可能です。
2 違約金や損害賠償の明示義務
職業紹介事業者は、求人企業との契約時、職種の範囲や手数料に関する情報に加え、違約金や損害賠償に関する規定を明示することが義務付けられました。これにより、契約後のトラブルを未然に防ぎ、事業者は安心して人材紹介サービスを利用できます。
3 募集情報等提供事業者による金銭提供の原則禁止
求人サイト等の募集情報等提供事業者が、求職者へお祝い金等の金銭やギフト券、特定ポイントを提供する行為が原則禁止となりました。これにより求職者の不適切な誘引を防ぎ、健全な採用活動が促進されます。
まとめ
今回の職業安定法改正は、求人企業、求職者、職業紹介事業者の三者にとって、より透明で公正な雇用環境を整えることを目的としています。
企業の採用活動では、契約内容の確認や手数料の適正性を見極めることが重要です。
今後の人材採用を円滑に進めるため、最新の法改正内容を正しく理解し、適切に対応してください。
《参考文献》
厚生労働省HP/契約ウォッチHP

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