商業登記の「謄本」「印鑑証明書」4月1日から料金が改定されました

法人に関わる各種手続きの中で、たびたび必要となる「登記簿謄本」。一般的な実務の中では広く使用されているこの書類ですが、その呼称や成り立ちについては意外と知られていない部分もあります。本稿では、「登記簿謄本」という用語の由来や制度の変遷、最近の料金改定の概要について、簡潔にご紹介いたします。

■ 「謄(とう)」という漢字に注目

「謄」という字、あまり日常では見かけません。でも意味を知ると、「謄本」という言葉の成り立ちがよく分かります。

「謄」は、“写す・書き写す”という意味の漢字
❖ つまり「謄本」とは、“元の記録をそっくり写した書類”
❖ 対になる言葉に「抄本(しょうほん)」があり、こちらは“一部を抜き出して写す書類”

登記簿謄本は、登記内容の全文を証明する書類であるという位置付けとなります。

■ 登記簿謄本の正式名称は「登記事項証明書」

現在の正式名称は「登記事項証明書」。いまだに「謄本」と呼ぶのは、昔の登記制度の名残です。

❖ 昔は「登記簿」という紙の帳簿に会社情報を記録していた
❖ その内容を写し取ったものが「登記簿謄本」
❖ 今はコンピュータ管理になり、内容の証明書という意味で「登記事項証明書」に変化
❖ ただし、実務上は今でも「謄本」と呼ばれることが多い

言葉の習慣って、なかなか変わらないものですね。

■ 令和7年4月、一部料金が改定

令和7年4月1日から、各種証明書等の手数料が一部改定されました。

オンライン化が進む中で、請求方法によって料金が少しずつ違います。

<主な手数料の改定>

主な手数料の改定

■ オンライン請求手続きに関する概要

登記事項証明書や印鑑証明書は、法務省のオンライン申請システムを使って取得することもできます。

インターネット経由で申し込み、郵送または窓口で受け取る流れです。

ポイント

❖ 印鑑証明書の請求には「印鑑カード」「電子証明書」が必要です
❖ 電子証明書には「商業登記電子証明書」または「マイナンバーカード」が使えます

■ 最後に

普段なんとなく使っている「謄本」という言葉も、歴史や意味を知るとちょっとだけ愛着が湧いてきます。

制度も言葉も少しずつ変わっていきますが、こうした“言葉の中の記録”も、大切にしていきたいですね。

※ この記事は令和7年4月時点の情報です。最新の内容は法務省のホームページでご確認ください。

https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/