特定扶養控除(学生アルバイト)の所得要件の引き上げ
2025年度税制改正で、大学生の年代(19歳~22歳)の子を持つ親向けの「特定扶養控除」が大きく変わります。
♡現行
扶養される子(19~22歳)の年収が103万円を超えると、親は特定扶養控除(所得控除額63万円)を受けることができませんでした。
♡2025年分以降の所得税から適用
子の年収上限が150万円に引き上げられます。これにより、学生の年収が150万円以下であれば、親は控除を受け続けられます。親の税負担増の心配が減り、学生はより多くの時間働くことが可能になります。経済的自立や社会経験の機会拡大にも繋がります。
♡3つの背景
今回の改正は、次の3つの背景があると考えられます。
労働力不足
少子高齢化による人手不足の深刻化。学生アルバイトは重要戦力ですが、「103万円の壁」が労働供給を抑制していました。これを緩和することで学生の労働参加を促し、人手不足の緩和が見込めます。
「103万円の壁」の不合理
壁を超えると世帯手取りが減る「逆転現象」が問題でした。上限を引き上げることにより、働いた分だけ手取りが増え、就労意欲の増進につながると考えられます。
税制の公平性
教育費負担の重い大学生世帯の実情を考慮し、税負担を軽減することでより公平な税制を目的としています。
♡企業としての対応
企業側の対応としては、次の4つのポイントが考えられます。
内容理解と周知
本改正内容を正確に把握し、対象従業員(子の親や学生本人)への説明や、特に年末調整に関する問い合わせへの備えが必要になります。
給与計算システムの準備
新制度に対応できるよう、システムの確認・改修を早めに準備することが必要です。
社会保険
学生の年収増で、新たに社会保険の加入義務が生じる可能性があります。「106万円の壁」「130万円の壁」に注意が必要です。
就業規則
扶養手当やアルバイト関連の規定が現状に合っているか検討し、必要に応じて改定していく必要があります。
ぜひこの機会を最大限に活用し、従業員が安心して働ける環境づくりを進めていきましょう。
《参考文献》
「労務SEARCH」HP

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