文明が融合した町『ペルー クスコ』
海外通信NO.115
ペルーの古都クスコは、インカ帝国崩壊後、インカ帝国時代の神殿や宮殿がスペイン人の侵略により破壊されました。バロック様式の教会や宮殿の建造に際し、インカ時代の建造物は、石積みがあまりにも精巧で土台部分は破壊できず、そのまま利用することにより、基礎部分はインカ時代の石積み、上部はスペイン風の建造物というインカ文明とヨーロッパ文明が融合した新しい建築様式が確立されました。この様式の建物は数多く現存しており、世界遺産に認定されているものもあります。
「サクサイワマン遺跡」は、南東部に位置し古都クスコの街が一望できる丘の上にあります。石の高さ4～5ｍある巨石の一つひとつが精巧に組み合わされた遺跡で、高さ約20m、幅は約400ｍに渡る石壁が階段状に3段に積み上げられています。天上・地上・地下の3つを意識したインカ文明の独特の世界観とスケールに圧倒されます。
サクサイワマン遺跡では、毎年、冬至（南半球では、6月24日）に豊作祈願と収穫の感謝を太陽に祈る「太陽の祭（インティ・ライミ）」が開催されます。この祭りはブラジルの「リオのカーニバル」、ボリビアの「オルーロのカーニバル」とともに南米3大祭りに数えられる大祭です。
祭りの数週間前から町は盛り上がり、祭り当日はケーナなどの楽器を奏でる人や民族衣装を着た人々が、移動しながらフィナーレを迎えます。サクサイワマン広場では遺跡をバックに当時のインカ帝国の栄光をたたえる舞踏が行われ、鑑賞するために世界中からツーリストが訪れ、周辺の広大な草原は埋め尽くされます。
日本でも、東京駅赤煉瓦駅舎や銀座にある築75年を超えたビルのリノベーションなど、建物や地域の保存・復元活用に注目が集まっています。伝統と技術の進化の融合、新しい文化の誕生が楽しみです。
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