年末年始・2つの新聞から
2つの新聞記事
あるところでふと、令和6年年末12月31日の朝日新聞、令和7年元日の読売新聞を目にする機会があった。
年末の朝日新聞トップ記事は、百年未来への歴史として「膨らむ借金許した先は」として膨れ上がる国債についての記事であり、翌元日の読売新聞トップ記事は、「中国宮古海峡を封鎖演習」と題して台湾有事の際における中国の動向であった。いずれも日本のこれからの重要課題である。
「日本の財政破綻」は国内のリスク要因として毎年挙がっているものであるし、「台湾有事」は国外のリスク要因として非常に緊迫度の高い、ひしひしと日本に迫ってくる課題である。
財政の危機
朝日新聞は、1900年から2023年までの123年間の「政府債務残高対GDP比」をグラフとして載せ、すでに第二次世界大戦時の状況を超えていることを図示して見せ、日本の財政は、戦前を遥かに超えて歯止めがかからない状態であることを示している。
国の借金:国債は2009年に対GDP比で終戦時を超え、以後増加の一途をたどってきた。
思い起こしてほしい。昨年5月の為替介入を。政府は約9兆円を投じて為替介入し危機を防いだ。
MMT(現代貨幣理論)という新しい学説が主張され、「自国通貨で発行される国債はデフォルトは起こらない」という説が広がり日本の政治家には国債の増加を気にしない政党・政治家が多くなった気がする。「103万円のカベ」問題もその一端かとも思うが、借金(債務)は資金繰りが回っているうちはいいが、いつ、止まるともわからない。
日本銀行もこれ以上国債を買えないというところまで国債を買い上げており、いつ、国債の格下げを契機として暴落が始まってもおかしくはない状況にある。
少数与党として政権運営をしていかなければならない石破政権としては、野党の要求も入れなければならない状況で、1月15日の朝のニュースで、政府はプライマリーバランスを放棄したとのニュースがあった通り、本年度の予算案はバブル時を更新する過去最高額の予算案になり、財政支出に歯止めがかからない。
台湾有事に備えた国防支出の増加、少子高齢化による社会保障費、災害対策など国内外、課題山積の時である。
台湾有事
読売新聞の記事は台湾有事の際、日本の領海である宮古海峡を制覇して台湾攻略を行うため演習を行ったものである。
ロシアのウクライナ侵攻が始まり、ロシアの力による現状変更が国際社会に許されることが分かれば、米国の覇権の綻びと映り、中国は台湾へ武力による侵攻を始める前に、台湾攻撃を有利に展開するために、まず、日本の宮古海峡を制覇(日本を攻撃)するとも読めるのである。
トランプリスク
時、あたかもトランプ政権の誕生によって、トランプ氏のグリーンランドの買収やパナマ運河の所有発言など、プーチン氏の武力による現状変更とは異なるが「力による現状変更」ともとれる発言が注目を浴びている。
トランプ大統領は1月20日の大統領就任式の当日から大車輪で大統領令に署名するパフォーマンスを行いトランプ政権の発足を内外にアピールした。
ダボス会議にもリモート出演し、「米国第一主義」を声高に主張した。
トランプ政権の政策が日本にどのような影響を及ぼすのか、「ディール」と称してどのような要求をしてくるのか、台湾有事・尖閣防衛にどうコミットするのか、関税政策を通じて日本の経済・景気・財政にどのような影響を与えるのか、日本の各界は疑心暗鬼な状況である。
「米国第一主義」「ディール外交」で表現される外交方針も自由、公平、人権を尊重する今までの西側共通の理念としていた自由民主主義の理念・価値観という人類共通の価値観に根差したものとは異なり、プーチン氏、習近平氏と同類の価値観と感じるのは私だけであろうか。
2つの新聞は、日本のこれからを暗示して強烈で衝撃的な印象を受けたので紹介した。
LR小川会計グループ
代表 小川 湧三

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