長期保有・時間分散の効果

クローバー通信 No.236

昨年はNISA(少額投資非課税制度)の拡充がありました。加えて確定拠出年金についても、昨年12月に令和7年の税制改正大綱が発表され、加入年齢の引き上げや拠出限度額の引上げなど見直し案が盛り込まれました。

老後資金の確保などにおいて一段の自助努力が必要となります。

前号の「資産分散の重要性」に続き、長期保有・時間分散について取り上げます。

1 証券投資はギャンブルか?

証券投資を行わない理由として、余裕資金がないという家計の要因の他、知識がない、損する可能性がある、ギャンブルのようなもの、価格の変動に神経を使うのが嫌など心理的な要因があげられますが、正しい知識を持つことができれば、相談相手が身近にいれば、投資に目を向けることができるのではないでしょうか?

確定拠出年金[iDeCo・企業型DC]やNISA[つみたて投資枠]では、投資信託での積立投資が一般的です。積立投資は、ドル・コスト平均法により投資の運用リスクを抑えながら、コツコツと積立する伝統的な手法で、100円から取扱う金融機関もあります。

2 長期保有の効果

短期的には値動きが激しい資産でも、10年以上保有すると元本を下回る確率が非常に低くなります。

米国のアクティブ・ファンド運用において運用資産残高トップのキャピタル・グループのデータによると、1973年末を起点に2023年までの50年間に全世界株式に投資した場合、運用成績が投資元本を割り込んでしまった年は、以下の通りです。

 1年保有:50回中16回
 5年保有:46回中9回
10年保有:41回中4回
15年保有:36回中0回

2008年のリーマンショックなど単年度では大暴落もありましたが、期間が長くなるほど元本割れの回数は少なくなり、15年超保有した場合は、どの期間を切り取っても元本割れはありませんでした。

前提としては、株式、金、暗号通貨など「成長性のある資産」への投資が鍵となります。
また、分配金を再投資する場合は、「複利での運用効果」が働くため、期間が長いほど効果が高くなります。

3 時間の分散つみたて投資のすすめ

長期投資の効果をさらに高めるためには、時間の分散が有効です。タイミングを計ることはプロでも難しいことです。タイミングを計らず定期的に分散して投資することで平均取得単価を抑えることができます。

♥ メリット

① 1回あたり数千円~と比較的少額で始められ、積立の設定をすれば、その後の手続きは不要

② ドル・コスト平均法により購入単価を平準化できる

③ 少額でも、長期にわたり継続する事で計画的に将来まとまった資産を形成する事ができる

♠ デメリット

つみたて投資① 売却時の相場により損失となる可能性がある
 ➡ 短期投資には向かない

② 相場が一方的な方向に動く場合は、損となる
 上昇相場 ➡ 最初に買った方が利益が大きい
 下落相場 ➡ 下がるまで待った方が損失が少ない

③ 高値掴みはしないが、底値で買うこともできない

4 ドル・コスト平均法

価格が変動する金融商品を購入する場合、一度に購入せず、定期的に一定の金額分を購入していく方法。毎月・毎週・毎営業日など設定し、価格の変動に合わせて上がった時には少ない口数を、下がった時には多い口数を購入する事になり、結果的に購入単価を抑える事ができます。

上がった時には少なく買う  下がった時はたくさん買う
  投資成果 = 価格 × 口数

ドル・コスト平均法

5 どんな商品が適しているか

変動幅が大きい(リスクが高い)商品
成長する資産・市場への投資がおすすめ

投資信託(株式型)、REIT(不動産投資信託)、純金積立、通貨(米ドルなど)、ビットコインなど

△ 個別株式は倒産リスクがあるので、投資信託で銘柄分散した方が効果的

× 債券は変動幅が限定されるため効果が限定的

投資未経験者でも取り組みやすい理由

❖ 価格が上がれば資産価値が上がり、下がれば安く購入できるので、上がっても下がってもストレスが抑えられる

❖ 平均購入単価が下がり、損失からの回復が早い

❖ タイミングリスクは積立回数分の1回(10年なら1/120)、始めるタイミングに悩まない

❖ 相場を追わなくても良い
  ⇒ 精神的負担感が少ない

まとめ

つみたて投資つみたて投資は、早く始めて長く続けることがポイントです。

月々1万円を20年間積立投資した場合と、10年後から2万円を10年間積立投資した場合では、拠出額は240万円で同じですが、複利で運用した20年後の結果は、早く始めた方が、年利2%では約30万円、4%では約70万円上回る結果となりました。

加えて投資経験は自身の財産にもなるでしょう。但し、資金化のタイミングは重要です。

その時の価格がそれまで積み上げてきた口数すべてに影響を受けてしまいます。最後の暴落を回避するためには、目的に応じて、計画的に資金化していくことが大切です。

政治・経済とも先行きが不透明で市場の動きも大きくなる可能性があります。だからこそ、時間を味方につけていきましょう。

 

 

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