インフレ収束へ向かう世界経済と国際金融市場の動向 〜 米大統領選挙後の変化を考える 〜
第410回 ロングリレーションズ倶楽部
ロングリレーションズ倶楽部 特別講演
テーマ:
インフレ収束へ向かう世界経済と国際金融市場の動向
〜 米大統領選挙後の変化を考える 〜
講師:
NPO法人 横浜日独協会 副会長 向井 稔 氏
元UBSグローバル・アセットマネジメント 代表取締役副社長
元日本投資顧問協会 副会長
♣コロナパンデミックから脱出できた世界経済と米国金融政策の推移
2020年初頭にコロナ感染症の拡散に伴い、世界規模で都市のロックダウンが起こり、経済活動は大幅に縮小を余儀なくされました。2020年の世界GDPは▲4・4%に落ち込み、負の成長率はリーマンショック時を遥かに超え、1929年世界恐慌以来の恐慌と言われています。
コロナショックから経済回復を目指す為、ゼロ金利政策を打つことで経済活動が徐々に再開していきました。中央銀行による継続的な金融緩和策が実施されたことにより、金融市場はインフレが高進し始めました。
欧米では2022年に数十年ぶりの物価上昇という動きを受けて、金融政策を「緩和」から「引き締め」へと転換を急ぎました。金融引き締めの下、インフレの収束が進みましたが、失業率の上昇など景気後退の兆しが目立つようになり、2024年に入ってからは、欧米は利下げへと方向転換を始めています。
♣為替市場介入と日米金融政策の転換
2024年に入ってから財務省による円買い介入が4回実施されました。160円前後での円安局面で、総額15兆円近いドル売り・円買いを日本銀行を通して行い、相場の安定の為ドル高から円高へと局面を変えることに成功しています。
7月に入ってからの財務省による巨額なドル売り介入、日米の金融政策の転換により、日米金利差の縮小を見込んだ円キャリー取引の巨額な円売りポジションの巻き戻しも発生し、140円近辺まで一気に円の反転へと切り替わっていきました。しかし次第に、米国景気の先行きに安定感が増し米国長期金利も上昇、ドル円相場は再度150円を突破し10月の1ヶ月間だけでほぼ10円の大幅円安となり、35年ぶりの下落幅となりました。
♣今後の国際金融市場の動向
日本経済は、「デフレ経済」からの脱却に差し掛かっている重要な局面であるため、経済対策を円滑に進める政治体制の安定こそが必須となります。
米国においては、「財政赤字拡大」の懸念が根強く、インフレ再発の可能性も十分にあり、FRBによる金利引き下げの継続は困難との予想が広まりつつあります。

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