天下大乱の始まり?
2024年を振り返って
新年にふさわしくないタイトルになってしまったが、このタイトルは10月29日「産経抄」から頂いたものである。
世界の情勢
●ロシア・ウクライナ戦争は、まもなく3年を迎え新たな展開があった。
①ウクライナがロシア領内へ進軍し、ロシア領土の一部を支配下におさめたこと
②北朝鮮がロシアへ軍隊を派遣し、ロシア・ウクライナ戦争が東アジアへ波及してきたこと
③アメリカがロシア国内を攻撃できる長距離ミサイルの供与を決定し、これに反発したロシアがウクライナ国内へ無差別攻撃を開始し、局面が戦争拡大へ向かう新たな展開があった。
●次は、2年目に入ったイスラエル・パレスチナ戦争は、イスラエル・イランが限定的にせよ相互に相手方領土に直接攻撃し合う、対イラン戦争・対中東戦争へ拡大する兆しが出てきたことである。
●最も大きい政治要因は、アメリカでトランプ大統領が当初の予想を覆し圧勝して再選を果たし、前記2つの戦争にどのような影響を及ぼすか予断を許さないところがある。
また、次期閣僚政策担当者等の人事が次々と発表され、身内で固められた人事の感があり、アメリカ国内の分裂という不安感も漂ってきた。
国内の情勢
国内では
●1月元日早々能登半島地震、復興半ばでの9月の激甚災害に指定された能登風水害の被害など自然災害の復興の遅れが目立ち、政権にも大きな影響を与えた。
●8月には、当局の為替介入で140円台まで円高へ戻したが、金融市場ではブラックマンデー越えの下げ幅、過去最大の株価暴落が起きた(8月5日)。その後、為替相場はトランプ氏当選後現在(11月15日)156円と円安へ大きく振れている。
●10月には、ウラ金問題で岸田政権が退陣し、後任の総裁選挙では9人もの多数の候補者が乱立し、決選投票の末、石破総裁が誕生した。
その後行われた衆議院解散総選挙で自由民主党・公明党の与党が過半数割れとなり、国民民主党に振り回され政治の流動化の兆しが見える。
今年はどんな年?
昨年を振り返ってみた通り、国際情勢はウクライナ・ロシア戦争、イスラエル・パレスチナ戦争は拡大の方向に向かっている。
前期トランプ政権の時に表面化した米中覇権争いは、前記2つの戦争でさらに鮮明となり、トランプ大統領の再登場により台湾有事を現実の脅威としてクローズアップさせた。
一瞬実現したかに見えた自由主義グローバル・エコノミーは、中国の国家資本主義経済への変質により世界の二極化が決定的となり、米中の覇権争いへと突入してしまった。
「力による現状変更」を目指す中国と台湾の問題も、北朝鮮のウクライナ戦争へ軍隊の派遣によって東南アジアにも拡大し、トランプ政権の出方によっては台湾危機もいつ現実化するか、実現度が高まった。
国内的には自由民主党の弱体化が明らかになり、「尾が胴体を振り回す政治」(11月24日掲載 日本経済新聞)が想定され、国際的危機が高まるなか内政混乱が加速する可能性がある。
また、国民民主党の政策は、国民にアピールするためにはやむを得ないとしても、バラマキ型政治であり、国債を海外に売り歩かなければならない現状では、日本の財政をさらに悪化させる懸念がある。いつ、海外の投機筋から財政破綻の現実を突きつけられてもおかしくはない。
一本のワラ
昨年11月、6年振りでシンガポールへ行ったが、日本人は僅かしか見かけなかった。いろいろな会話の中で東南アジアへ進出している日本企業への求職が激減しているとのこと、あわせて、日本から東南アジアへ「出稼ぎ」に行く時代へ差し掛かっているという話に終わった。
社長が10月イギリス・ロンドンへ研修視察で行ってきた。ラーメン一杯が35ポンド(約7千円)の話題で持ちきりだった。僅か6年だが日本の国力の衰退を実感できる話だ。
自然災害、国際情勢の急変、日本国債暴落、台湾有事、米中覇権争いの激化、天下大乱が起きても日本は耐えられる国力はあるのだろうか。
国力の衰退著しい日本は天下大乱とは言わず、一本のワラでも崩れる臨界点に近付いているように思えるのである。
〈追記〉
年末、韓国とシリアに異変が起きた。韓国の異変は日米韓同盟と台湾有事に直結し、シリアの異変は中東の不安定化に直結する。要注意。
LR小川会計グループ
代表 小川 湧三

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