銀行デジタル化への対応
クローバー通信 No.187

銀行では、店舗統合や、通帳発行手数料の導入・口座管理手数料の導入・振込手数料の見直しなど、手数料の新設や見直しの動きが相次いでいます。
今回は、銀行のデジタル化への対応と利用方法について取り上げます。
1 通帳デジタル化の流れ

みずほ銀行では2021年1月18日より、三井住友銀行では2021年4月1日より、新規口座開設の場合、「紙の預金通帳」の発行に手数料がかかるようになります。振込手数料の見直しや、口座管理手数料など、手数料の新設や見直しの動きが相次いでいます。
通帳発行の際、銀行は1口座当たり年200円の印紙税を負担しなければならず、システム維持など1口座年間2,000円~3,000円の費用がかかると言われています。銀行を巡る環境は厳しく、他の銀行でも追随する動きが出てくるでしょう。
【みずほ銀行】
◆ 2021年1月18日以降の新規口座より通帳発行・繰越ごと1冊 1,100円
◆ 毎年1月末時点で1年以上記帳がない場合は、自動的に「みずほe口座(通帳を発行しない口座)」に切り替えとなる
◇ 「みずほe口座」利用で、今後最大10年分の取引明細を確認できる
【三井住友銀行】
◆ 2021年4月1日以降の新規口座より通帳発行・繰越 年間 550円
◆ 未利用口座手数料年間 1,100円
(2年以上入出金がなく、かつ残高が1万円以下 かつ「Web通帳」・インターネットバンキングが未登録の場合)
◇ 「Web通帳」利用で、今後最大30年分の取引明細を確認できる
◇ インターネットバンキングの場合、他行宛振込手数料2022年3月末まで無料
【三菱UFJ銀行】
◇ 「Eco通帳(インターネット通帳)」利用で、最長10年分の明細がみられる
◇ 家族が自分の口座残高や入出金明細を閲覧できる(ファミリー口座照会サービス)
◇ ATM手数料優遇
注意! 取引明細は、過去の取引明細がみられるのではなく、デジタル通帳を使い始めた後の取引に限られます。移行前に必ず記帳して情報を残しておきましょう。
2 休眠口座・未利用口座の取扱い
休眠口座
休眠口座とは、一定期間以上使われていない口座のこと。
放置したままの口座には「消滅時効」があり、最後の取引や満期日から、銀行口座では5年、ゆうちょ銀行や信用金庫では10年と定められています。実際には休眠口座であっても本人確認などができれば払出に応じてくれる場合があるので、思い当たる口座がある場合は、金融機関に問い合わせてみましょう。
未利用口座管理手数料
長期間利用のない口座に対し手数料がかかる銀行も増えてきています。2004年にりそな銀行が導入したのが始まりで、最近では横浜銀行や千葉銀行ほか様々な金融機関で導入されています。
りそな銀行、横浜銀行、千葉銀行 など年間1,320円
♦ 残高が1万円未満で、最後の取引から2年以上一度も取引がなく、連絡後一定期間経過後でも取引がない場合、年間1,320円
3 ネット銀行と特色
店舗がないと不安という声もありますが、以下のようなメリットがあります。

• 手数料が比較的安い
• 24時間いつでも手続きが可能
• 預金金利が比較的高い
• 店舗に行かずネット上で手続きが可能
• 取引記録をパソコンにダウンロードできる
その他証券会社やカード会社と連携してるなど、それぞれ特色があります。
目的別に使い分けると良いでしょう。
預金金利が高い あおぞら銀行、オリックス銀行、ソニー銀行 など
証券口座との連動 住信SBIネット銀行、楽天銀行、ソニー銀行 など
デメリットとしては、IDやパスワードを忘れると取引できない、引落口座に指定できない場合があるなど、あげられます。銀行の安全性や信頼性が気になる場合は、格付会社の格付けを参考にしてみましょう。セブン銀行やソニー銀行など、メガバンクと比較しても遜色ありません。
4 どのように使い分けるか
銀行口座の用途は?

• 給与の受取り
• 現金の引出し
• クレジットカードの引落し
• 公共料金等の引落し
• 家賃や習い事などの振込
• 住宅ローンの返済
• 定期預金や積立
• iDeCoやつみたてNISAの引落し

メイン口座は、給与振込などの収入と、公共料金やクレジットカードの引落などの生活費にかかわる自動引落をまとめておくと、口座の取引履歴が家計簿代わりになります。
利便性が高いこと、金融機関の安全性も大事なポイントです。
これとは別に、サブ口座では、目的別に使い分けると良いでしょう。住宅購入資金・子どもの教育資金など資産形成のためには、メイン口座から先に振り替えるようにしましょう。残ったら貯めるではなかなか貯まりません。
あまり取引のない口座は、思い切って整理しましょう。
預金保険機構の対象は、1金融機関につき1,000万円までの円預金とその利息までです。ネット銀行も対象となります。1,000万円を超える場合は、別の銀行や証券会社に分散させるか、利息の付かない決済性預金へ変更すると、万が一金融機関が破綻した場合でも、全額保護されます。
インターネットバンキング利用の注意点
1 IDやパスワードの管理はしっかりと
一番多いのは、IDやパスワードがわからなくなる事です。また、3カ月に1度、6カ月に1度など、定期的にパスワードの変更が必要な場合もあります。パスワード管理ノートを作るのも一つです。きちんと管理し、変更のルールを決めておきましょう。
2 正しいウェブサイトを登録しておく
普段からWebブラウザの「お気に入り」に登録しておきましょう。フィッシング詐欺を防ぐために、メールのホームページからアクセスするのはやめましょう。
3 誰が使ったかわからないネットカフェなど公共パソコンで、インターネットバンキングを利用しない
ホームページへのアクセスは、自分のパソコン・スマートフォンに限定しましょう。
4 パソコンやスマートフォンを常に最新の状態にしておく
ウイルス対策ソフトを利用し、ソフトやパソコンを最新の状態にしておきましょう。
パソコンやスマートフォンを普段から利用しない人にとってはハードルが高いのも現実です。しかし若い世代の利用率は高く、使いこなしている人も多くいます。設定やパスワードの管理など、家族や信頼できる人に協力を求め、頼るのも一つです。
情報共有のきっかけにもなり、いざという時に誰も確認できないなどのトラブルを避ける事にもなるでしょう。
まとめ

コロナウイルス感染の影響で、現金を使わない決済方法も増え、人々も徐々に慣れ、今後は一気にデジタル化が進んでいく事でしょう。店舗や通帳など実物がないと不安という声もありますが、メガバンクはじめ店舗の統合の流れがあり、窓口での対応を減らす流れとなっています。店舗のある銀行とネット銀行の差もなくなりつつあります。海外では一般的な、預かり資産残高に応じて口座維持手数料を導入する動きも増えてくるでしょう。
デジタル化によって預金金利や振込手数料の優遇などメリットもあり、わざわざ窓口へ行き、長時間待たされることなく手続きできるのは魅力的な事です。ただし、手数料を払ってでも現状のままにするという選択肢もあります。何を優先させるのか、自分の目的に合わせて利用しましょう。
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