パンデミック
1万分の1の敵

武漢コロナは1万分の1ミリの大きさだという。人から人へ感染し、死に至らしめるウイルスである。
WHO(世界保健機関)は1月30日に「緊急事態宣言」、3月11日に「パンデミック宣言」をした。世界ではすでに480万人をこえる感染者、32万人を超える死者を出している(5月20日時点)。
中国・武漢市で発生し、世界中に広がって、まだまだ収束する気配がないのである。
世界各国の首脳は武漢コロナとの戦いを「コロナ戦争」と捉え、国家の緊急事態として「緊急事態宣言」を発し、数百兆ドルに及ぶ経済損失を国民に強いる「都市封鎖」をあい次いで実施して、国民の生命や経済を守るため戦時体制に倣った対策を講じている。
孫氏の兵法
孫氏の兵法に「彼(敵)を知り、己を知れば百戦殆(危)うからず」という言葉がある。戦う相手、武漢コロナを知るにはPCR検査、抗体検査が必須である。また、敵(ウイルス)との戦場である医療現場や戦士である医療従事者、さらには社会の兵站を担うエッセンシャルワーカーの人たちの戦力・体力を知り(己を知る)、不足があれば補充、強化しなければならない。
緊急事態宣言延長
安倍首相は4月7日発令の緊急事態宣言の期限5月6日を5月31日まで延長した。武漢コロナとの戦い、コロナ戦争は1万分の1ミリという目に見えず、かつ、異常なスピードで人に感染し死に至らしめる敵(ウイルス)との戦いである。
緊急対策期間中になすべきことは何か。一つは武漢コロナの感染スピードを抑え、実効再生産数を1以下にすることであり、もう一つは感染者の隔離と治療体制を確立し、経済活動を可能な限り早く正常化への道筋をつけることである。
斥候を出さない日本政府
いま、ウイルスの感染スピードを抑えるために「緊急事態宣言」をし「移動制限」など国民に数百兆円もの経済負担を負わせる政策をとって戦争準備の時間を稼いでいる。
しかし、もう一つの早期発見・早期治療(感染者の隔離と治療体制)についてはどうであろうか。コロナとの戦いに勝つには早期発見・早期治療が最良の方策である。武漢コロナとの戦いが戦争であれば、最前線においては敵情を探る探索活動が必須の活動である。敵情がわからなければ、どこから不意打ち攻撃(クラスター発生など)を受けるかわからないからである。でも、日本政府は早期発見・早期治療に必要な「PCR検査」にきわめて消極的である。これでは斥候を出さないで野戦を戦うようなものであろう。
ドイツはPCR検査最優先でコロナ戦争に臨んだ。日本はドイツの14分の1の検査量でしかない。
未検査の感染者がどのくらいいるのかを知るためにニューヨーク州がすでに3回実施した「抗体検査」も日本ではいまだ発表されておらず、武漢コロナを敵とする索敵行為は行われていないも同然で、敵情がわからなければ対策も手探りで行わなければならない。
もう一つ不可解なことは、コロナ戦争の戦士である中核病院において集団感染(クラスター)が多発したことである。それはコロナ戦争の戦場である医療機関や、戦士である医療従事者、エッセンシャルワーカーの人たちへコロナと戦うための武器を与えずに戦わせているようなもので、戦時中の「竹やり作戦」「特攻作戦」と同じであろう。
イギリスはナイチンゲール病院という野戦(仮設)病院を作って対応している。日本では野戦病院のようなウイルス迎撃体制を作るどころか、戦闘や防護に必要な資材の供給も十分できていないように見える。
それは兵站を無視して行ったインパール作戦や、情報戦で敗れて太平洋戦争の転機となったミッドウェイ海戦を想起させる。
悪いことは重なる
悪いことは重なるものだ。ペストのあとにロンドンが大火災によって焼失したように。日本はもちろん世界各国がコロナと戦っている。コロナ戦争で右往左往しているときを選んで、何が起こるかわからない。
コロナ禍に乗じて中国の尖閣諸島上陸、北朝鮮体制の崩壊、台湾進攻、また自然災害をめぐって年初以来発表された南海トラフ地震(1/24)、富士山噴火(3/31)、千島・日本海溝地震(4/21)などの被害想定の発表が続いている。特に最近多い首都圏の地震が東京直下型地震を引き起こすなど、悪いことが重ならないことを願うのみだ。
税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三

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