外貨建て金融商品入門 その3 外貨建て債券〔高金利債券とは・・・?〕
【はじめに・・・】
昨年は高金利をうたう豪ドル債券や南アフリカのランド債券が話題となりました。最近はトルコリラ建て債券の案内を見かけます。いったいどんな商品なのでしょうか?
【外貨建て債券とは?】
米ドルやユーロといった外貨建てで、国際機関・外国の政府や企業・日本の企業が、国内外で発行する債券で、主に証券会社で取り扱っています。
債券には、新しく募集される新発債券と、既に発行されている既発債券があります。新発債券は予め募集・売出期間、発行条件(利率・残存期間など)が確定しています。これに対し、既発債券は市場で取引される為、債券価格や為替などの変動により、利回りや円換算した購入価格も随時変化しています。また、利子がない代わりに額面から利子分を割り引いて発行されるゼロクーポン債もあります。
【チェックするポイントは・・・?】
①発行機関の格付けは?
:AAA(トリプルA)が最も信用力が高い。
②利率は?
:額面に対し年何%の利子を受け取れるかを表します。
外貨建てでの表示になります。
③利回りは?
:購入価格に対して、利子や償還差損益がいくらの収益を生み出しているか。既発債で特に重要な項目です。
④利払日は?
:利子の払われる日。
⑤満期日は?
:この日まで保有すれば額面金額が戻ります。
【外貨建て債券の注意点】
金融機関や通貨・預入額によって、手数料率・販売単位・為替コストなどは様々です。金融機関によっては外国証券取引口座管理料がかかる場合もあります。
流動性に欠けるため、為替の動きや資金が必要な時にすぐに対応できない事(流動リスク)もあります。
特に高金利の新興国債券は、米ドルなどに比べ通貨の取扱量が少ないため、「値動きが激しい」・「思うように売却できない」 などのリスクもあります。
【既発債の取引のしくみ】
世界銀行豪ドル債を取引した場合・・・
◆ 購入時 ◆
[約定代金]:1,000豪㌦×100.85=1008.5豪㌦
(現在と比べ高金利の為、発行時より債券の価値が上がり、100.85%の値段で売買されている。)
[経過利子]:0.96豪㌦ (前所有者が貰うべき利子)
[支払合計]:1008.5+0.96豪㌦=1009.46豪㌦
[為 替]:為替レート60.0+手数料片道100銭
[日本円受渡金額]:1009.46豪㌦×(60.0+1.0)=61,577円
◆ 最終受取額 ◆
(豪ドルベース)
*その時の為替レートにより、円での受取額は変動
[償還額] : 1,000豪㌦ [受取利子(7/14)]:1,000豪㌦×4.98%=49.8豪㌦
[受取合計額]: 1,000豪㌦+49.8豪㌦=1049.8豪㌦
[実質利回り]:(1049.8豪㌦-1009.46豪㌦)÷1009.46豪㌦=3.99%
*実質保有期間利回り=3.99%×6/12ヶ月(保有期間)≒1.99%
【外貨MMFとの比較】
外貨MMFは、購入や売却はいつでもでき、収益は毎日決算し、月末にまとめて再投資されるので、長く預ければ複利効果も期待できます。先程の豪ドル債券に対し、豪ドルMMFの金利は年利3.483%(2009/1/16 日興コーディアル証券参照)です。多少の金利差はありますが、ほぼ同水準です。リスクと利回りと見比べるとよいでしょう。
【外貨建て債券の税金の取扱い】
※利付債…中途売却と償還時の税金の取扱いに注意
【まとめ】
まだまだ為替相場の動きは激しく、先行きの見通しは評論家の判断も分かれるところですが、現在はここ数年の中でもかなりの円高水準である事には間違いありません。
資金に余裕があり、長期間に使用する予定のない場合は、外貨建て債券のメリットを生かすことができます。小口資金の場合や、流動性を確保したい場合には、外貨MMFを利用する方が、リスクを抑えることができるでしょう。資産状況・目的に合わせて、金融商品を選ぶことが大切です。
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