第2回 確定拠出年金 企業年金とiDeCoの併用
2026/08/07目次
クローバー通信 No.253
厚生労働省のデータによると、「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の加入者は約862万人、導入企業は4.7万社となっており、特に中堅・中小企業における制度導入の伸びが顕著です。
従来の確定給付型の企業年金(DB)と肩を並べる規模になっており、最近では、退職一時金制度を縮小・廃止する動きが日本企業で広がりつつあります。
今回は、会社の年金制度がある人がどう動くべきか、新ルールの仕組みと注意点を解説します。
1 複雑だった「併用の壁」の解消
現在の会社員や公務員の場合、iDeCoで積み立てられる金額は勤務先の企業年金制度の種類により月額2万円または2.3万円までと、低く抑えられています。
しかし、2027年1月拠出分からは「他制度と合わせて6.2万円」に変わります。
新ルールの基本:合算枠「月額6.2万円」
公務員や会社員の場合、企業年金【企業型DCやDB(確定給付年金)】とiDeCoを合わせた合計の枠が「月額6.2万円(年額74.4万円)」に設定されます。
ここから「会社の掛金」を差し引いた、残額が各人のiDeCoの枠になります。
改正後:6.2万円 - 会社の掛金= iDeCoで出せる上限

2 拠出可能額の大幅な増額
なぜ注目すべきなのか?
iDeCoの掛金は
全額が「所得控除」の対象
になります。会社の企業型DCの掛金が月額1万円だった場合、これまでの上限月2万円から月5.2万円へ積立額を増やせば、それだけ毎月の税金(所得税・住民税)が安くなります。
自分の老後資金を積み立てながら、現役時代の「手取り額」を効率的に守ることができます。
3 併用を考える際の「3つの注意点」
制度が使いやすくなる一方で、注意すべき点もあります。
① 手数料負けに注意
iDeCoは加入時や毎月の運用に数百円の手数料がかかります。もし「新ルールの余白が月額2,000円しかない」というような少額の場合、節税メリットよりも手数料の方が高くなる可能性があります。
② 「他制度」がある場合の計算
「確定給付年金(DB)」という、会社が将来の受取額を保証するタイプの年金がある場合、iDeCoの枠の計算は少し複雑になります。2024年12月の改正(先行実施)ですでに計算式が導入されていますが、2027年以降はさらに「実際の掛金」ベースでの調整が進むため、会社の担当部署に自分の「拠出可能額」を確認することが必要です。
③ 60歳以降も働く場合の継続確認
第1回で解説した通り、iDeCoは70歳未満まで加入できるようになります。しかし、会社によっては「企業型DCの加入は65歳まで」と決まっている場合があります。
その際、65歳以降は企業型DCは終了し、iDeCo単独で継続するか、ライフプランに合わせてシミュレーションしておきましょう。
4 iDeCo加入者が企業型DCに加入する場合
3つの選択肢
① 企業型DCに一本化する:
今のiDeCoを
売却・現金化
し、中身を丸ごと会社の企業型DCへ移管する
・口座の管理手数料がかからない
・移管手数料は自己負担
② 企業型DCとiDeCoを同時に続ける(併用):
「会社拠出枠が少なく非課税枠をフルに使いたい」「会社選定の商品に魅力がない」場合、併用することも可能
・2口座の管理となり、iDeCoの口座管理料がかかる
③ iDeCoは運用だけ残す(拠出停止):
今のiDeCoの商品は売りたくないけれど、新しい積立は会社のDCだけにしたい場合など
・iDeCo口座の手数料が毎月かかり続ける
・残高が少ない場合はあまりおすすめしません
5 企業がマッチング拠出を導入している場合
マッチング拠出とiDeCoは併用できないどちらか選択
今まで「事業主掛金の金額を超えてはいけない」というルールがありましたが、2026年4月より撤廃され、月額上限額(現行は55,000円、2027年1月拠出分から62,000円)から事業主掛金を引いた金額まで、マッチング拠出ができるようになりました。
どちらを選んでも、
①掛金が全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が安くなる
②運用益が非課税になる
という基本的なメリットは一緒です。
iDeCoとマッチング拠出で拠出できる金額の差はなくなるため、制度そのものを比較して、どちらが自分に合っているかを判断しましょう。
6 戦略的な使い分け
iDeCo大改正を含めると、サラリーマンの選択肢は以下のようになります。
⒈「将来の保障」を維持しつつ手数料を節約
⇨ 企業型DCに一本化。制限が撤廃されたマッチング拠出をフル活用
⒉「今の手取り」を極限まで増やしたい人
⇨ 企業型選択制DCがある場合は、選択制DCをフル活用する
社会保険料の削減効果が最も大きくなります。
⒊「会社のラインナップ」に満足できない
⇨ マッチングや選択制は最低限(またはゼロ)にし新枠でiDeCoを利用する
企業型の選択制DC(ライフプラン手当など)とは?
給与の一部を「掛金」として拠出するか、「現金」で受け取るか自分で選択できる制度です。掛金として拠出した分は「最初から給与ではなかった」ものとして扱われる為、負担する税金や社会保険料が減り手取りが増える反面、「傷病手当金」や「将来もらえる年金額」が減る可能性があります。
まとめ
拠出限度額が大幅に引き上げられるので、所得控除による手取りの増加・老後資金準備に大いに活用できますが、資金は60歳まで引き出せないので、
家計に無理のない拠出額を設定
しましょう。また現在は価格変動の大きい相場となっています。
運用期間とリスク許容度を確認しながら商品選択
をしていきましょう。
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