家族信託 ~認知症対策と財産管理のカタチ~
2026/10/15近年、人生100年時代と言われる超高齢社会を迎える中で、「家族信託」という言葉を耳にする機会が増えました。認知症等への対応や、財産の管理・運用、そして円滑な財産承継の観点から、ご家族間で信託契約を結ぶ家族信託が大きな注目を集めています。
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そもそも「信託」とは、資産の管理と資産の承継の2つをセットで行うことができる法律上の仕組みです。
具体的には、高齢になり、ご自身での資産管理が難しくなったときに資産の管理を任せたり、所有している資産を特定の人に確実に承継させたいときに、その承継先を指定したりすることができます。
つまり信託とは、「信頼できる人に大切な資産を託す」ということであり、当事者間の強い信頼関係に基づいて成り立っています。
信託というと、信託銀行などに手数料を払って任せる「商事信託」をイメージされる方も多いかもしれません。
これに対し「家族信託」とは、資産の所有者が営利を目的とせず、信頼できるご家族などに資産を託して管理してもらう仕組みを指します。
信託契約を結ぶと、財産の名義は形式的に管理を行うご家族へ移り、そのご家族が契約で定めた目的に従って財産の管理や運用、処分を行っていくことになります。
家族信託が注目される最大の理由は、「認知症による財産凍結リスク」への備えです。認知症になり判断能力が低下すると、銀行口座が凍結されて預金の引き出しができなくなったり、所有する不動産の売却や修繕契約ができなくなったりします。
しかし、親が元気なうちに家族信託を設定しておけば、万が一認知症になってしまっても、受託したお子様などのご家族が本人の代わりに預金を管理し、介護施設への入居費用や医療費を支払うために自宅などを売却するといった柔軟な手続きを滞りなく進めることができます。
ご自身の財産を信頼できるご家族に託しておくことで、将来の不安を安心に変え、ご本人の希望に沿った財産管理が可能になります。家族信託は、人生の後半生を自分らしく安心して過ごすための有効な選択肢なのです。
次号では、その仕組みと登場人物について解説いたします。
税理士法人LRパートナーズ
川崎事務所 所長 嶋田 栄一

