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証券口座・NISA・確定拠出年金の「相続」~いざという時の取り扱いと注意点~

2026/10/27

クローバー通信 No.256

これまで確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の制度改正や出口戦略について解説してきました。

今回は、ご自身に万が一のことがあった場合、大切に育てた資産(証券口座、NISA、確定拠出年金)が「相続」においてどのように扱われるのか、そのルールとご家族が困らないための注意点についてお伝えします。

証券口座で保有している株式や投資信託は、そのまま有価証券として相続人の証券口座へ移管して引き継ぎます。現金化する場合は、相続人へ名義変更(移管)を行い、その後売却する手続きが必要です。

相続財産として「死亡日の時価」で計算されますが、この時点で売却を伴わないため、利益への課税はありません。

亡くなった方が100万円で購入した株式が、相続時に300万円に値上がりしていた場合、相続人は「100万円で購入したもの」として引き継ぎます。将来、相続人がその株式を300万円で売却した際、差額の200万円に対する譲渡益に課税(約20%)されます。

亡くなった時点でNISA口座にある株式や投資信託は、一般口座や特定口座と同様に、相続人の「特定口座」または「一般口座」(いずれも課税口座)に移管されます。

非課税で運用できるNISA口座ですが、この「非課税の権利」はあくまで「本人のみ」のものです。そのため、NISA口座をそのまま相続人が引き継ぐことはできません。

NISA口座から相続人の課税口座へ移される際、その資産の取得単価(購入価格)は、「亡くなった日の時価」にリセットされます。つまり、亡くなった時点までの値上がり益に対しては非課税のまま引き継げますが、移管後に発生した値上がり益については、将来売却した際に税金(約20%)がかかります。

取引先の証券会社に契約者が亡くなった旨を連絡し、口座を凍結して取引を停止させます。

NISAがある場合は、金融機関から送付される「非課税口座開設者死亡届出書」などを提出し、NISA口座を廃止する手続きを行います。

有価証券のまま引き継ぐ場合、相続人は同じ証券会社に自分名義の口座(特定口座または一般口座)を開設する必要があります(既に持っていれば不要)。

証券会社から送付される「相続手続依頼書」に記入し、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)などを提出します。

書類に不備がなければ、数週間〜1カ月程度で亡くなった方の口座から相続人の口座へ有価証券が移管されます。

証券口座の相続は、相続人が同じ証券会社に口座を開設する必要があるため、複数の証券口座がある場合は、相続人も複数口座を開設しなければなりません。

① 複数ある場合は生前に徐々に整理する
② 早く情報を共有し、運用するのであれば同じ証券会社に口座開設する

など対策しておくと、相続人の負担を軽減できます。

確定拠出年金の加入者や受給者が死亡した場合、その資産は遺族に対して「死亡一時金」として支払われます。
年金形式(分割)で受け継ぐことはできず、必ず一括での受け取りとなります。

確定拠出年金の死亡一時金は、「退職手当金等」に該当し、相続税の非課税規程(500万円×法定相続人の数)の適用が可能です。相続放棄しても受け取り可能です。

ただし、死亡日から3年経過すると受取人の「一時所得」として所得税の対象となります。

死亡一時金は、遺族が自ら運営管理機関(証券会社や銀行など)に連絡し、裁定請求を行わない限り支払われません。請求期限(原則5年)を過ぎると受け取れなくなる可能性があるため、口座の存在をご家族に知らせておくことが不可欠です。

確定拠出年金の死亡一時金は、生命保険と同様に、あらかじめ受取人を指定することが可能です。指定がない場合は、配偶者、子、父母…と法律で定められた順位に従って支払われますが、特定の家族に確実に残したい場合は、生前に受取人指定の手続きを行っておきましょう。

iDeCoの場合は運営管理機関(証券会社や銀行など)へ、企業型DCの場合はお勤め先の担当部署または記録関連運営管理機関へ連絡し、契約者の死亡を伝えます。

送付される「死亡一時金裁定請求書」に記入の上、亡くなった方の死亡の事実がわかる戸籍謄本、請求する遺族の戸籍謄本、印鑑証明書、受取口座の確認書類などを提出します。

書類が受理されると、運用されていた商品(投資信託など)はすべて売却・現金化され、指定した遺族の銀行口座へ一時金として振り込まれます。(手続き完了まで1〜2カ月程度かかります)

金融資産の相続において最も多いトラブルは、「どこに、いくらの資産があるか分からない」という事態です。ご家族の負担を減らすために、以下の準備をしておきましょう。

NISAや特定口座を開設している証券会社名、iDeCoの運営管理機関、企業型DCの記録関連運営管理機関、ログインIDなどを一覧にして安全な場所に保管し、その存在を家族に伝えておきます。

近年は書面での郵送物が届かないネット証券の利用が増えています。

スマホやパソコンの中に閉じ込められた「デジタル遺品」にならないよう、口座開設の事実だけでも家族と共有しておくことが大切です。

金融資産(証券口座・NISA・確定拠出年金)は、それぞれ相続時の税制や手続きが異なります。残された家族の負担や手続き漏れを防ぐためにも、生前に口座情報を整理し、ご家族としっかり共有しておくことが最も大切です。

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