貸倒損失が認められる3つのパターン
2026/08/20目次
事業を営んでいると、取引先の経営悪化などで売掛金が回収できないというトラブルに直面することがあります。この場合、回収不能になった金銭債権は、税務上の要件を満たせば「貸倒損失」として経費(損金)処理することができます。
法律では以下の3つのパターンのいずれかに該当する場合にのみ、損金算入が認められています。
1 法律上、債権が消滅したとき(法律上の貸倒)法基通9-6-1
公的な手続き等により、債権が法的に消滅した(または免除された)ケースです。
実例①
取引先が「民事再生」や「破産」を行い、裁判所から「売掛金の一部を切り捨てる」と決定された。
実例②
相手の赤字が長年続いていて全く払ってもらえないため、自社から「今回は免除する」という書面(債務免除通知書)を内容証明郵便で送った。
①の場合は決定された日
②の場合は相手に届いた日
の属する事業年度に処理を行う必要があります。
2 客観的に見て回収が不可能になったとき(事実上の貸倒)法基通9-6-2
取引先の状況から見て、全額を回収できないことが客観的に明らかなケースです。
実例③
取引先の社長が夜逃げして会社も閉鎖され、残された財産も一切ないような状態。
③の場合は全額回収できないことが明らかになった事業年度で処理を行う必要があります。
3 取引がなくなって1年以上経ったとき(形式上の貸倒)法基通9-6-3
これは売掛債権に限定して適用できる、手続きを簡素化するためのルールです。1や2と異なり、備忘価額を控除した残額を貸倒として損金算入できます。
実例④
支払いが滞ったため取引を打ち切ったが、最後の取引や入金から1年以上経っても連絡がなく、支払われない。
実例⑤
取引先への売掛金が数千円あるが、現地へ行く旅費(取立費用)のほうが売掛金より高くなってしまう。
④の場合は取引停止か最終弁済のあったタイミングから一年経った事業年度に計上しなければなりません。
❖税務調査で否認されないためのポイント
貸倒損失は税務調査において重点的に確認されやすい項目です。否認されないように、送った督促状のコピーや返戻郵便、裁判所や弁護士から届いた各種通知書などの「客観的な証拠」を必ず保管してください。適切なタイミングでの処理は、会社の財務を健全に保つために重要です。

