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売掛金・貸付金の時効と、防衛のための「完成猶予」「更新」「援用」の仕組み

2026/07/28

 ビジネスを営む上で避けて通れないのが、取引先からの入金遅延や、貸したお金が返ってこないというトラブルです。これらを放置していると、ある日突然、法的に1円も回収できなくなるリスクがあります。

現在の日本の民法では、売掛金や貸付金の時効は原則として「権利を行使できると知った時から5年間」と定められています。通常、ビジネスの取引では「○月○日までに支払う」という期限を決めるため、その期限が過ぎてから5年が経過すると時効のタイミングを迎えます。

債権者(お金を回収する側)が何もせずに5年が経つと時効になりますが、法律には回収のための猶予期間を作る仕組みがあります。それが「時効の完成猶予」です。

完成猶予とは、一時的に時効のカウントダウンをストップさせる措置のことです。時効が迫っている時に債務者へ書面で請求(催告)を行うと、そこから6カ月間は時効の完成が猶予されます。

例えば、その猶予期間中に、裁判手続き等の実行に移行したり、債務者が「支払いを待ってほしい」という書面を書く(債務の承認)等すると、時効は『更新』され、カウントがリセット(一から再スタート)されます。

ここで非常に重要なのが、「時効の期間が過ぎたら、自動的に借金が消滅するわけではない」という点です。時効のメリットを享受するためには、債務者(支払う側)が債権者に対して、「時効の期間が過ぎたので、時効の利益を受けます」と宣言する必要があります。この行為を「時効の援用」と呼びます。

どれだけ年月が経っていようとも、この「時効の援用」が正式になされない限り、債権は消滅しません。一般的には、後々のトラブルを防ぐために「内容証明郵便」などの書面で援用の意思表示が行われます。

時効は、債務者にとっては「5年が過ぎ、援用すれば支払いを免れる武器」ですが、債権者にとっては「うっかり忘れると大損害を被る落とし穴」です。支払いが滞ったら放置せず対応し、時効が迫れば「催告」で時間を稼ぎ、「債務の承認」等で時効を更新する。このタイムリミットを意識した債権管理こそが、会社の健全なキャッシュフローを守るために重要です。