LR小川会計グループ 電話をかける

MENU

LR-ブログ

LR公式HOME ほっとタイムス 海外通信 NO.133ベルギーの奇祭「イーペルの猫祭り」〜歴史を紡ぐ、猫好きの聖地へ〜

海外通信 NO.133ベルギーの奇祭「イーペルの猫祭り」〜歴史を紡ぐ、猫好きの聖地へ〜

2026/10/28

海外通信 NO.133
ベルギーの奇祭「イーペルの猫祭り」〜歴史を紡ぐ、猫好きの聖地へ〜

ベルギーの古都イーペルでは、3年に一度、5月に街全体が猫一色に染まる奇祭「イーペルの猫祭り」が開催されます。中世の絵本から抜け出したような街並みを、趣向を凝らした猫の山車や巨大なパペット、華やかな仮装行列が練り歩き、街中がファンタジーの世界に包まれる猫好きにとっての聖地とも言えるお祭りです。

しかし、この微笑ましいお祭りの背景には、悲しい黒歴史が隠されています。

中世ヨーロッパ時代、イーペルは高級な毛織物の生産地として栄えていました。

当時、大切な商品をネズミの被害から守るため、ネズミ捕りとして多くの猫が放たれていました。

ところが12世紀頃、魔女狩りの狂気が広がると、夜目が利く猫は「魔女の使い」として忌み嫌われるようになります。毛織物産業のオフシーズンで猫が増えすぎると、羊毛会館の鐘楼から生きた猫を投げ落とすという残酷な風習が生まれました。伝染病への恐れも相まって、この悲しい儀式は18世紀頃まで続いたといいます。

その後、過去の過ちを二度と繰り返さないという歴史の教訓と猫たちへの慰霊を込め、1938年に現代の「猫祭り」として復活しました。

現在の祭りのクライマックスでは、高さ70メートルを超える鐘楼から生きた猫の代わりに可愛らしい「猫のぬいぐるみ」が投げ落とされます。これをキャッチした人には幸運が訪れるとされ、広場は熱気に包まれます。祭りは魔女裁判を模した演劇と火の儀式で幕を閉じます。

「猫」を産業の道具として利用し用済みで処分した過去は、現代の安さや利便性の裏で環境破壊や動物搾取から目を背けがちな大量生産・大量消費社会と重なり、「責任ある消費」の大切さを教えてくれます。

また、消費トレンドが変化する中で、単にぬいぐるみを買うのではなく、祭りに参加する体験、そして3年に1度の限られた時間に群衆と熱狂を共有する瞬間にこそ、人々は大きな価値を見出しています。

暗い過去を愛に溢れる観光資源へと昇華させたこの祭りは、思いやりのある消費と豊かな体験の価値を現代に伝えています。