ジョージ・ソロス
2026/10/14ジョージ・ソロス

1992年に当時割高とされていたイギリス・ポンドに目を付け、100億ドルに上る大掛かりなポンド売りを仕掛けたことで、ポンドは急落した。イギリス政府は買い支えなど通貨防衛策をとったが、ポンドは下げ止まらず、イギリスは、変動相場制への移行に追い込まれたことから、「イングランド銀行を負かした男」としてその名をとどろかせた。
為替介入
なぜ、ジョージ・ソロスを思い出したか。それは今年に入って大規模な為替介入があったからである。5月と7月の、160円をめぐる為替介入である。
5月のゴールデンウイーク中(4月30日、5月4日、5月6日)に為替が1ドル160円72銭と、年末来の高値を更新したのを機に大規模な為替介入があり、介入資金総額は11・7兆円で、155円24銭まで3・5%下落した。
7月の為替介入では、7月30日に1ドル162円80銭の高値を更新したのを機に大規模な介入(11・7兆円)があり、155円23銭まで戻し、4・6%下落した。
特に第2回、7月の介入は28年ぶりの電撃的な日米財務当局の「日米共同介入」であったことに特徴があり、日米財務当局の関心の深さと真剣さが伺われる。
「NEWSWEEK」9月1日号に厳しい評価が出ていた。「円暴落の日本をアメリカが見限る日」というタイトルで「介入を行ったところで、日本の構造的問題が解決されなければ円安圧力は続くことになり、いつかは円が大きく下落する日がやって来るだろう。」とのことである。
消費税減税
高市内閣では発足当初から「消費税減税」を公約とし、食料品の値上がり対策として2年間「1%」に引き下げる政策を掲げ、その後「給付付き税額控除」へ移行する政策を打ち出している。
消費税は昭和63年に創設され、当初3%、その後5%・10%と税率を引き上げてきた。
消費税減税は、今まで税率を引き上げてきた時の政権の努力に反するのではないかとの批判がある。引き上げのたびに政権が崩壊する苦渋の決断をしてきた自由民主党にとっては、2年間とはいえ減税することは鬼門に近い政治的な賭けのように見える。
「10・4プロジェクト」
私が国の財政に関心を持ったのは、2009年に日本の財政における債務比率が、終戦時の債務比率を超えた、とのニュース報道に接したときからである。戦後のハイパー・インフレを子供心に経験し、財政破綻による「預金封鎖」「デノミ」「ハイパー・インフレ」「財産税」「富裕税」がフラッシュ・バックのように思い出されたからである。
その後2011年11月、「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」という本が出版された。内容は2015年の自民党総裁選に勝利し、日本の財政破綻を手際よく処理をするストーリーであった。(※)
私は仕事柄相続対策としてお客さまの財産保全を仕事の一つとしている。しかし、財政破綻は一個人にとどまらず、全国民一律に及ぶものである。個々人の対策も大事だが、財政破綻はお客さま一律に及ぶので、「すべてのお客さまにお知らせする必要がある」と感じて財政破綻に関するセミナーを始めた。
そうして、2014年から「10・4」プロジェクト(10年で4000万円を海外に積み立てる)という実験的プロジェクトを始めた。開始当初の為替相場は1ドル104円台で、何度かの節目を迎えながら、現在(8月29日時点)は160円台である。
現在の日本の円は対ドルだけではなく、ほぼすべての通貨に対して円は下落しているのである。(8月25日付日本経済新聞)
日本の財政は大丈夫?
高市政権は「財政健全化の旗」を降ろし、積極的成長戦略に切り替え、消費税減税や「骨太の方針」により投資プロジェクトを始動した。投資が必要という機運が出てきたことは喜ばしいことではあるが、積年の財政構造もないがしろにはできない。
ロシア・中国・アメリカという世界の大国が一国主義に回帰し、国際紛争の震源になって国際環境が弱肉強食の時代に入った現在、自国を守る国防予算の増額が求められるのはやむを得ない。骨太の方針による投資プロジェクトとともに内外の投機対象とならないよう、第二のジョージ・ソロスが現れないように切に祈るものである。
LR小川会計グループ
代表 小川 湧三

