海外通信 NO.132「当たり前の便利さ」を見つめ直す、モンゴル大草原の馬旅
2026/10/02海外通信 NO.132
「当たり前の便利さ」を見つめ直す、モンゴル大草原の馬旅
今年の夏休みは、日常の喧騒と日本の便利な生活からあえて離れ、モンゴルの大草原での「馬旅」に出かけました。
現地ではゲルに1泊、テントに3泊しながら、すべての移動を乗馬で行いました。私たちの当日のコンディションに合わせて昼食地や野営地が決まり、シェフやスタッフ、資材を乗せたサポート車両が先回りして準備を進めてくれます。
草原の魅力は、一見すると「何もない」ことにあります。視界を遮る建物も、絶え間なく飛び込んでくるデジタル情報もありません。あるのは、駆け抜ける蹄の音、草の香り、どこまでも広がる青い空と見渡す限りの大地だけ。
余計なものがないからこそ、馬と一体になることだけに意識を研ぎ澄ますことができました。人間と馬の関係は、支配や服従ではなく、互いを受け入れることから始まるのだと気づかされます。
また、滞在中の食事は牛肉と乳製品が中心でした。肉類やジャガイモ、小麦の自給率は高い一方、寒冷な気候のため生鮮野菜や果物の多くを輸入に頼っているのが現地のリアルな食事情です。
しかし、のどかな草原から街へ戻ると、ガソリンスタンドの前には給油を待つ車が何キロも並んでいました。ひどい時には丸一日も車列の中で過ごすといいます。内陸国であるモンゴルは燃料の大部分を隣国ロシアからの陸路輸入に依存しているため、ロシア側の情勢やトラブルの影響をダイレクトに受けてしまうのです。
現地の若き経営者が語ってくれた母国のリアルな現状は、翻って日本の置かれた状況を深く考えさせるものでした。
日本もまた、エネルギーや食料の多くを海外に頼っています。私たちが日常的に不自由なく給油や買い物ができる陰には、常にリスクが潜んでいます。
ひとたびサプライチェーンが絶たれれば一瞬で立ち行かなくなる脆さを抱えている点では、日本も同じです。私たちが当然のように享受している「当たり前の便利さ」は決して普遍的なものではなく、危ういバランスの上に成り立つ「奇跡」なのだと痛感させられました。
最後に、この旅でお世話になった「旅モンゴルリア」の代表は、ロータリークラブのご縁で日本へのホームステイ経験があり、それが今の仕事を始めるきっかけになったそうです。誰かを受け入れることが、新たな可能性の扉を開く――そんな温かな繋がりをも実感する、深い旅となりました。

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